2006 Fiscal Year Annual Research Report
電子映像と電子テクストによる英米圏文化の映画と文学に関する包括的比較研究
Project/Area Number |
16320035
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平石 貴樹 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 教授 (10133323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 和久 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 教授 (10108102)
大橋 洋一 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 教授 (20126014)
柴田 元幸 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 教授 (90170901)
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Keywords | 英米映画 / 英米文学 / 文化研究 / アダプテーション / 文化変容 / 文化基盤 / メディア / 映画化 |
Research Abstract |
最終年度にあたって、方法論上の問題と、分類に関して、研究者間で、見解の相違が露呈、度重なる打ち合わせ会議を通しても、統一的見解は出せなかったため、期間内での研究成果の公表は研究者の個々の論文が中心だが、今後、複数の学会等における公表を企画している。また従来の分類を踏襲し資料を整理しつつ、新たな分類可能性にむけて再度理論的考察を行なった。なお今年度において集中的に議論されたのは、映画と文学との関係が異なるメディアにおける翻訳の問題として議論されるべきこと(この議論は「ラオコーン問題」として18世紀の西洋の芸術思想にさかのぼる)、また文学作品と映画との双方向的・相互作用的現象の解析と応用が必要なことである。映画を文学教育で利用するなど、映画の解明力への認識が近年高まりつつある。そのため映画資料を、原作のアダプテーションではなく、固有の文化現象発信基盤としても整理する必要があり、文学を中心とした従来の整理分類、データベース化に根本的な変革を加える分類法の考案を試みた。また文学→映画というユニットが、文学を中心に構成継承されるのではなく、映画を起点とした映画の反復増殖として出現することに関して、これを包括する関係性の調節手段も考察した。資料の収集と個々の比較研究においては、多くの発見があり、それらは一様に文化基盤による映画あるいは文学の変容力を認識するものであったが、同時に、映画あるいは文学が文化基盤を創造する際、映画や文学が個別ではなく合体融合したときに大きな効力をもつことも確認された。またこうした洞察は、研究成果の多くの学会の場での積極的な公開により、さらに深めることができると確信を得た。
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