2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16320036
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
湯浅 博雄 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (30130842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 志朗 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (90138610)
鍛治 哲郎 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (30135818)
丹治 愛 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (90133686)
野崎 歓 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教授 (60218310)
田尻 芳樹 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教授 (20251746)
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Keywords | 翻訳 / 言語態 / 異文化交流 / 間文化 / 文字文化 |
Research Abstract |
本年度は、三年計画の最終年度であり、これまでの研究をとりあえずまとめるために、まず2006年10月21日に、東京大学駒場キャンパスにおいて、国際シンポジウム「翻訳の言語態」-モーリス・ブランショ、文学、言語(Maurice Blanchot : literature et langage)と題されたシンポジウムを行った。このシンポジウムは、フランス現代思想・文学(デリダ、フーコー、ドゥルーズ、レヴィナスなど)に大きな影響を与えている批評家モーリス・ブランショをテーマにし、海外の研究者二名、すなわちボルドーIII大学のドミニク・ラバテ氏、およびジゼール・ベルクマン氏を招聘する一方、それとともに日本人研究者たちも参加して、あらためてブランショの文学論、言語論を検討する試みであった。モーリス・ブランショは、文学における言語の働き、その特徴を緻密に分析することを通して言語活動全般の理解を深めたのみならず、芸術作品(の起源)論や他者論、翻訳論の領域においてもハイデガー、レヴィナスなどの思想をさらに進展させている。このシンポジウムでは、ブランショの翻訳論を中心的に取り上げた。翻訳において最も重要なことは、翻訳者が原作においても、自分が書いてゆく作品においても、言葉を記す仕方(フォルム的側面)と、記された内容(概念的側面)とが切り離せないかたちで結ばれていることを銘記し、そうした言語活動の特性を精密に理解することであるというブランショの思想の根本を討議した。このシンポジウムの成果は、2007年秋に『ブランショ特集号』(現代詩手帖別冊特集、思潮社)として刊行予定である。さらには、他方で、本プロジェクトの研究分担者たちが研究会を開いて討論を重ね、翻訳は原作の言語と翻訳者の言語が関係づけられ、対話し、交流することである点を、多様な角度から検討した。その議論を集約するかたちで、湯浅が「翻訳論についての思索」を執筆し、2007年5月に研究報告集を刊行する予定である。この報告集には、宮下、野崎なども、論考を掲載することになっている。
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Research Products
(7 results)