2004 Fiscal Year Annual Research Report
音声英語コミュニケーションにおける相互作用研究-伝達能力とストラテジーの関係
Project/Area Number |
16320072
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡 秀夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90091389)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 豊 東京国際大学, 商学部, 助教授 (30306245)
藤尾 美佐 東京富士大学, 経営学部, 助教授 (20350712)
|
Keywords | ストラテジー / 実践的コミュニケーション能力 / 方略的能力 / リスニング / 音変化 / 文脈 / インタラクション / 問題解決 |
Research Abstract |
本研究の1年目では、「実践的コミュニケーション能力」をストラテジーという枠組みで解明することを目ざした。まず、言語能力観の推移に関して、Canale&Swain(1980),Tarone(1980),Bachman(1990,Byram(1997)を検討し、ストラテジーを「効果的な伝達を促進するために、解読や相互理解において積極的に用いられる方略」ととらえ直した「方略的能力」(SC)については、言語関連知識を総合的に運用しながら、ダイナミックな意味の交渉を通して相互理解をめざす運用能力ととらえた。それにもとづき、実践的コミュニケーションにおいて、われわれが駆使するさまざまなストラテジーの中で、リスニングでどのように音変化に対処するのか、および、対人インタラクションでどのように協働作業に取り組むのかに着目して実験を行い、Oka(1991)のモデルをもとに考察した。 音変化を含むリスニングについては調査した実験1では、先行する文脈を与えることで、音変化する部分の聞き取りの理解が上昇することが観察された。ただし、先行文脈をヒントとして活用するストラテジーを十分に使用できるようになるには、ある程度(今回の調査ではTOEIC700点)以上の英語熟達度が必要であることがわかった。次に、実際のコミュニケーションにおける問題解決について調査した実験2では、対話者相互のリソースも利用しながら協力して解決に向うことが観察された。また、non-understandingを引き起こす要因は、言語面以外にも会話面や知識面に関する場合があることが見られ、各々の場合において対話者は、問題解決のための努力を最少限にするため、できる限り明確に問題の所在を示そうとしていることが明らかになった。 本年度の研究結果は、2004年11月27日に清泉女子大学で開催された第1回JACET関東甲越地区大会で口頭発表し、東京大学外国語教育学研究会(FHA)の紀要に投稿した。
|
Research Products
(7 results)