2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16320083
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
佐原 哲也 明治大学, 政治経済学部, 助教授 (70254125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三沢 伸生 東洋大学, 社会学部, 助教授 (80328640)
石田 勇治 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (30212898)
関 哲行 流通経済大学, 社会学部, 教授 (60206620)
武内 進一 アジア経済研究所, 主任研究員
大石 高志 神戸外国語大学, 外国語学部, 助教授 (70347516)
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Keywords | 民族浄化 / 地域紛争 / 強制移住 / ジェノサイド / 強制的同化 / 戦争犯罪 / ユーゴ内戦 / スターリニズム |
Research Abstract |
本年度は6月12日、7月9日、7月22日、10月16日、11月20日、11月26日に国内研究会を開催し、2月22-23日にブルガリア共和国ソフィア市で国際会議を開催した。それによって得られた知見は以下の通りである。民族浄化に類する現象は、旧ユーゴ地域ばかりでなく、ニカラグア内戦、旧ソ連の民族強制移住政策にも見られた。ブルガリアの強制同化政策には民族浄化といいうる要素が見られるが、同化とは民族集団を文化的に抹殺することではあるが、その肉体的除去を伴っていないため、すべての同化を民族浄化と断定することは出来ない。民族浄化に当てはまる同化と、それ以外の同化を如何に概念的に区分けするかが検討課題として残っている。旧ユーゴ内戦のメカニズムは、民族集団同士の対立から直接的に発生したのではなく、必ずしも民族的なものに還元できないローカルな利害関係の対立から生じた紛争がネットワーク化される中で民族対立の図式が出来上がったものであった。ここでは従来指摘されている民族主義政治家の扇動よりも、経済危機と政治システムの正統性喪失による無法状態の出現が重要であることが確認された。国際会議では、19世紀以来のバルカン地域の住民移住の殆どが民族強制移住であり、民族浄化の類型に当てはまることが確認された。ポスト内戦期のボスニア、コソヴォでは国連による平和維持活動が破綻をきたしつつあり、その原因が現地の意志を無視した上からの紛争解決モデルの押し付けであり、植民地主義の要素を含んでいるからであるとの見解が出された。これは民族浄化後の和解の在り方にとって重要な指摘であり、今後、この点に関するさらなる研究が必要であることが確認された。
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Research Products
(7 results)