2004 Fiscal Year Annual Research Report
西洋と日本における法の「かたち」と統合作用--史料論的・文化史的比較研究
Project/Area Number |
16330001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田口 正樹 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (20206931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 武 北海道大学, 名誉教授 (20000648)
山田 欣吾 一橋大学, 名誉教授 (70017523)
石部 雅亮 大阪国際大学, 政経学部, 教授 (90046970)
村上 淳一 桐蔭横浜大学, 法学部, 教授 (80009795)
石井 紫郎 東京大学, 名誉教授 (00009797)
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Keywords | フェーデ / 国家法 / 世界法 / 宮廷 / 中間的諸権力 / 中世法学 / 国際情報交換 / ドイツ:フランス |
Research Abstract |
今年度は研究初年度であり、それぞれの時代と地域についての研究状況の把握につとめるとともに、いくつかの個別テーマに関して先行的に検討する機会を持ち、その中で全体に共通する一般的・理論的諸問題についても意見を交換した。例えば、中世後期ドイツのフェーデについて、都市側のフェーデ批判、領邦政治における意味、領主・農民関係における意義などについての最近の研究が紹介されて、従来のフェーデ理解との関係が議論された。また、現代世界において国際取引実務などを中心に、lex mercatoriaなどと呼びうるような、国家権力によるサンクションを伴わない法が形成されて、従来からの国家法と併存するという状況が取り上げられ、その歴史的文脈と意義が、ニクラス・ルーマンによる媒質と形式の区別などを参考にしつつ論じられた。更に、近世ドイツの領邦宮廷都市に関して、領邦君主権力と都市参事会や同職組合といった「中間的諸権力」との関係が検討され、そこにあらわれる様々な法の形式が類型化されるとともに、近世的な特質のありかが探究された。また西洋中世中期に完成された学識法学が中世後期において有した意義を探るという視角から、中世後期フランスのパルルマン(高等法院)に関する最近の研究が紹介されて、パルルマンの制度的発展と学識法学の諸概念との関連について、議論がなされた。また、ペーター・ランダウ教授(ミュンヘン大学名誉教授)、カーリン・ネールゼン=フォン・シュトリュイク教授(フライブルク大学)といった海外の研究者とも、中世中期・後期ドイツにおける法の存在形式とその機能などを中心に意見交換を行い、研究課題に関する認識を深めるとともに、来年度以降の研究協力に向けて準備を進めた。
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