2004 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける近代ヨーロッパ国際法の受容と伝統的華夷秩序の相克に関する研究
Project/Area Number |
16330012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柳原 正治 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (60143731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 健児 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (70037068)
李 黎明 福岡大学, 法学部, 助教授 (30346746)
深町 朋子 福岡国際大学, 国際コミュニケーション学部, 講師 (30310014)
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Keywords | 王鉄崖文庫 / 琉球合併 / 朝貢国 / 華夷秩序 / 宗主権 / 独立 |
Research Abstract |
わが国と韓国における近代国際法の受容過程についてはすでに、過去3年間の共同研究により、かなりの部分の史料の収集を行ってきた。本年度においては、これまで蓄積されてきた史料群の分析を日韓の研究分担者や海外共同研究者により進めるとともに、中国側の史料の集積を進めた。 中国側の史料についてはとくに、最近中華人民共和国精華大学に寄贈された「王鉄崖文庫」の中にかなりの数の1次史料が含まれているとのことから、その分析を行うことを急務の作業とした。そこで、2004年3月に九州大学法学研究院助教授として採用された韓相煕氏(韓国人で中国北京大学で博士号を取得)と、精華大学の海外共同研究者李兆杰教授の助力を得て、当該文庫の分析を行った。その結果、19世紀中葉から20世紀前半にかけての、条約集、政府文書などの1次史料がかなり所蔵されていることが判明した。来年度以降、これら文書の詳細な分析を進めたい。 2005年2月19日には、九州大学において、本年度の史料分析などのまとめとして、日韓の7名の研究者による合同研究会を開催した。日本による琉球併合、日本における領海の範囲に関する先例、巨文島占領事件、朝貢国・属国と自主・独立、韓中商民水陸貿易章程、についての報告があった。そのなかでとくに、附庸、内藩、藩属、属邦、属国、自主、自立、宗主権、独立などの用語について、伝統的華夷秩序の中での用法と、近代国際法の枠内での用法についての違いについて、明治初期の日本の対外交渉担当者がどこまで意識していたのかが重要な問題点として指摘された。この点は、来年度以降の最優先の課題として取り上げていくことにしたい。
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Research Products
(1 results)