2006 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける近代ヨーロッパ国際法の受容と伝統的華夷秩序の相克に関する研究
Project/Area Number |
16330012
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柳原 正治 九州大学, 大学院法学研究院, 教授 (60143731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 健児 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (70037068)
明石 欽司 慶応義塾大学, 法学部, 教授 (00288242)
李 黎明 福岡大学, 法学部, 助教授 (30346746)
韓 相熙 九州大学, 法学研究院, 助教授 (30380653)
深町 朋子 福岡国際大学, 国際コミュニケーション学部, 講師 (30310014)
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Keywords | 国際法の受容 / 近代ヨーロッパ国際法 / 中華秩序 / 華夷秩序 / 朝貢制度 / 主権 / 自主 / 礼 |
Research Abstract |
本年度は、これまでの研究業績(平成16年と17年に行われた中国、韓国そして日本などの諸国における関連資料の収集と国際ワークショップ)に基づいて、"東アジアにおける近代ヨーロッパ国際法の受容と伝統的華夷秩序の相克に関する研究"という本研究についての最終的な総括として、国際ワークショップの開催に重点を置いた。このワークショップは、2006年12月8日、韓国の釜山大学のSang-Nam国際会館で開かれ、研究代表者による総括的な研究紹介の後、以下のような5件の個別報告が行われた。 まず、張寅性(ソウル大学、外交学科)は"近代韓国の勢力均衡概念と東アジア国際法"というタイトルの報告を通じて、"勢力均衡"(balance of power)という概念が近代韓国にいかに受容されたかを、"均勢"、"中立"、"鼎立"などの概念と比較しながら、分析した。明石欽司(慶応義塾大学、法学部)は"立作太郎の国際法理論とその実践性-日本の国際法受容とその一つの帰結"という報告で、立作太郎という日本の著名な国際法学者の研究に対する分析を通じて、日本の国際法の受容過程を眺めようとした。李根寛(ソウル大学、法科大学)は、"韓清議約公牘に関する予備的考察-国際法の観点から"という報告で、1899年の韓清通商条約によって中韓両国の関係が伝統的なものから近代的なものに転換したという既存の学説に異論を提起した。金鳳珍(北九州市立大学、国際関係学科)は、"朝鮮における華夷秩序と欧米国際秩序の相克"というテーマの報告で、華夷秩序の儒教原理と朝鮮の"自主"をめぐる諸学説を徹底的に分析することにより、華夷秩序に対する"二元思考"と"三元思考"からの異なる解釈を見せようとした。最後に、韓相煕は"19世紀東アジアにおける国際法の受容に関する日中韓学者の研究動向"という報告を通じて、19世紀東アジアにおける国際法の受容に関する日本、中国、そして韓国の学者の重要な、ほとんどすべての研究業績に対して分析と評価を行った。 この国際ワークショップの報告者は報告の内容を原稿の形としてすでに提出しており、現在研究実績報告書が作成されている途中である。この研究実績報告書には、"19世紀東アジアにおける国際法の受容に関する日中韓学者の研究"のほとんどすべての研究業績が参考目録として掲載される予定である。
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Research Products
(4 results)