2005 Fiscal Year Annual Research Report
刑事裁判における裁判官と裁判員の認識・判断プロセスに関する実証的研究
Project/Area Number |
16330015
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
藤田 政博 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (60377140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲 真紀子 北海道大学, 文学研究科, 教授 (00172255)
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Keywords | 裁判員 / 陪審 / 参審 / 社会心理学 / 認知心理学 |
Research Abstract |
本年度は、より本格的な実験実施のため、陪審・参審に関する理論的検討を行った。参審制に関する実証研究について、輪読を行ったほか、冒頭陳述が陪審の評決に及ぼす影響、集団意思決定などについて講読会を行い、本科研での問題設定について議論した。 次に、模擬裁判員実験に使用する刺激作成のため、夏季に南山大学法科大学院において、模擬裁判のビデオを作成した。これを用いて、北海道大学において、市民及び学生参加者に対して実験を行った。このときの検討のテーマは、心理学的知識・法学的知識を事前にレクチャーした際の評決への影響であった。 平成18年1月に、アメリカ法科大学院協会の年次大会に赴き外国の陪審研究状況について調査を行った。米国の死刑陪審プロジェクト以降の研究展開状況と、裁判所実務との関連状況について調査した。同時に、在外研究のため平成17年8月から渡米した岡田悦典・南山大学助教授と面談し、これまでの総括とこれからの計画について打ち合わせた。本科研による研究の最終的な成果物として、書籍等の出版物の形とすることを話し合った。 なお、岡田助教授が担当した、刑事手続的観点からの課題設定および社会調査については十分成果をあげた。この調査は、裁判員制度および司法制度に対する社会的態度に関する一般市民調査であった。この結果については、17年度中に上記の成果と一部合わせる形で、報告原稿を作成した。この原稿は、岡田・仲・藤田の共著で紀要『南山法学』に掲載される予定である。 上記以外の本科研による成果発表は本様式の「研究発表」の項に記載の通りであるが、そのほかの発表としては、仲真紀子「司法における法学と認知心理学の恊働」(日本心理学会)をはじめとした12件の学会発表や、山崎優子・仲真紀子・岡田悦典・藤田政博「説示の提示時期やノートテイキングの有無が法的判断に及ぼす効果」(法と心理学会)などがある。
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