2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16330018
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中西 正 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10198145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 英明 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (60178762)
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Keywords | 倒産処理法 / 租税債権 / 事業再生 |
Research Abstract |
本年度は、本科研の研究の主要部分の1つ(我国の歴史の分析、比較法的分析)を遂げるに当たり、基本的な視角が必要であると考え(対象が膨大なので、さもなければ研究が散漫になり、多大な時間を要する)、それについての検討を行い、以下のような仮説を得た:租税は、債務者の担税力などに基づいて課されるのであるから、倒産した債務者や倒産財団に対する課税は、当然そのような観点(例、債務超過に陥っている債務者や倒産財団に対する課税が合理的なのか否か)に基づく正当性の検討に耐えねばならない。そして、そのような検討に耐えるものであるなら、倒産による損失を負担することなく、完全に弁済されるべきである。ただし、徴税当局が、納税を猶予し、債権という形でこれを保有していると、債務者の破綻した財務状況を隠し、倒産処理手続の適時の開始を妨げる。租税債権の制限は、このような事由に基づいてなされるもののみ正当化される。このような視点は、比較法的検討により基礎付けられるのではないだろうか。 本科研のテーマに関する、メンバーの研究実績は以下のとおりである。まず、研究代表者・中西 正は、「破産法改正と倒産実体法の見直し・債権の優先順位」ジュリスト1273号(2004年)67頁を挙げることができる。ここでは、優先される債権の必要性と弊害を多角的に分析し、来年度以降で行う、歴史的、比較法的検討と、解釈・立法提言への基礎を築いた。また、「更生債権関係等」会社更生法・ジュリスト増刊(ムック)(2005年刊行予定)では、同様の検討を再建型倒産処理手続一般に広げ、理論の完成度を上げようと試みた。 研究分担者佐藤英明は、「破産法改正と租税債権」租税法学会編『租税法研究33号』(2005年5月刊行予定)収録で、改正された破産法における租税債権の取り扱いを、詳細に紹介し、検討している。
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