2004 Fiscal Year Annual Research Report
現代米国における政党変容メカニズムの分析:「決定的選挙」なき政党再編
Project/Area Number |
16330022
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久保 文明 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (00126046)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
砂田 一郎 学習院大学, 法学部, 教授 (40102818)
松岡 泰 熊本県立大学, 総合管理学部, 教授 (40190425)
|
Keywords | 共和党 / 保守派 / 議会 / アメリカ / 政党 / 政党変容 / 政党再編 / 保守化 |
Research Abstract |
本年度の研究としては、1990年から2001年G.W.ブッシュ政権成立にいたる共和党の保守化、およびそれと財政政策と外交政策との関係について、実証的な研究を行った。 研究成果の第一点は、1990年秋の財政政策をめぐるG.H.Wブッシュのホワイトハウスと、下院を中心とする共和党保守派の対立に焦点を当て、増税を容認する党内穏健派と、それを拒絶する保守派のイデオロギー的対立がきわめて先鋭で、根本的なものであったことを示した。1992年にG.H.Wブッシュは落選したが、これは同時に増税を容認する共和党穏健派の凋落を示すものであった。 もう一つの重要な研究の焦点は、1995年にはじまった共和党多数議会が民主党のクリントン政権の外交に対抗して、どのような「外交政策」を展開したかであった。これについて、国連、海外援助、北朝鮮、本土ミサイル防衛、CTBT、京都議定書、海外での宗教的迫害、そして中国などをめぐる政策について、共和党保守派の議会がどのような思想に立脚して、具体的にどのような政治的行動を起こしたかを実証的に分析した。この結果、内政における保守派と外交政策における保守派は実質的に大きく重なり合っており、またギングリッチらに率いられた議会共和党保守派は、1990年代後半に、共和党の外交政策の基調を大きく変化させたことも論証された。しかも、この外交アジェンダはG.W.ブッシュ政権にもかなりの程度受け継がれたのであった。これらの保守的ないしタカ派的(単独行動主義的)政策は、内政を中心としつつ、外交タカ派の団体・運動も加わった保守連合によって推進されたものであった。
|