2004 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアの地域経済統合と成長・所得分配・貧困削減-CGEモデルによる計量分析-
Project/Area Number |
16330037
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
江崎 光男 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 教授 (60029915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長田 博 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 教授 (40233506)
西村 美彦 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 教授 (10301219)
大坪 滋 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 教授 (40247622)
新海 尚子 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 助教授 (10377765)
KORONCZI Karol 名古屋大学, 大学院・国際開発研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 地域経済統合 / 自由貿易協定(FTAs) / 東アジア(ベトナム等) / 成長 / 所得分配 / 貧困削減 / CGEモデル / 世界リンク・システム |
Research Abstract |
21世紀に入って急展開しつつある地域経済統合すなわち自由貿易協定(FTAs)が、東アジア経済にどのような影響を与えるのか、特に東アジア開発途上国の成長・所得分配・貧困削減に与えるインパクトを、CGE(計算可能一般均衡)モデルの枠組みに従い計量的に評価することが、研究課題の第1である。研究課題の第2は、計量分析の結果に基づき、東アジア諸国の開発戦略・将来展望を導くことである。東アジアの中では、特に、タイ・インドネシア・ベトナム・中国に焦点が当てられている。 研究計画第1年目の平成16年度は、計量分析の基礎となる統計資料の収集とデータベースの構築、ベトナムに焦点を当てた世界リンクのCGEモデルに関するパイロット・スタディが試みられた。 前者の資料収集、データベース構築については、タイ・インドネシア・ベトナム・中国に対して、各国政府(統計局)が実施した家計調査・社会経済調査・生活水準調査の個票データを購入することが出来た(中国については我々の要望に沿って加工された集計データを購入した)。これらのデータは、社会会計行列(SAM)を作成し、所得分配と貧困の計量分析に必須不可欠である。東アジア諸国を含む世界各国の産業連関表(IO表)および貿易取引行列データ(Trade Matrix)は、米国パーデュー大学の世界貿易分析プロジェクト(GTAP)のデータベース6(2004年末に公表された最新版、2001年を対象)を購入した。このデータベースは、世界リンクのCGEモデルを構築するために必須不可欠である。 後者のベトナムを対象とするCGE分析のパイロット・スタディであるが、これはベトナム科学技術センターのズン博士との共同研究として実施され、所期の目的はほぼ完全に達成されている。すなわち、ベトナムの生活水準調査の個票データ(約3万世帯)をモデルに統合し、都市・農村10分位所得階層ごとに、熟練-非熟練、フォーマル-インフォーマルの労働市場を考慮したCGEモデル(ベトナムのみ詳細な世界モデル)により、各種FTAsのベトナム経済に与える興味深いインパクトが検出されている。これとほぼ同じ分析システムが、平成17年度に、中国・タイ・インドネシアに適用される予定である。 東アジア諸国の分析と平行して、補完と比較の観点から、拡大EUがスロバキア経済に与えるインパクトの分析が進行中である。東アジアと類似の世界モデルによる地域経済統合(拡大EU対スロバキア)の分析は、平成17年度秋には完了する予定である。
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Research Products
(4 results)