2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16330039
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
玄田 有史 東京大学, 社会科学研究所, 助教授 (90245366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒澤 昌子 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (40275813)
神林 龍 東京都立大学, 経済学部, 助教授 (40326004)
本田 由紀 東京大学, 大学院・情報学環, 助教授 (30334262)
佐藤 香 東京大学, 社会科学研究所, 助教授 (10313355)
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Keywords | 職業教育 / NEET / カウンセリング / コンサルティング / マッチング / キャリア教育 / 統合型 / 14歳 |
Research Abstract |
本研究では、学校を主体に実施される職業教育について、その効果を経済学的観点から評価することを目的としている。そこで本年度は、無業や失業状態にある若者に対する就職支援を実施しているジョブ・カフェなどの若年に対する就業支援を行っている諸機関を訪問調査し、どのようなかたちでの職業情報の提供が就業および自己実現に向けた目標形成とそのための行動設定に有効かを検討した。 具体的には職業教育が特に必要であると思われる、学校に通わず、仕事もしておらず、職業訓練を受けていない若者をNEET(Not in Education, Employment, or Training)と定義し、その実情について図書を刊行した上で、それらに該当する若者への職業教育という観点から、聞き取り調査を全国すべてのジョブ・カフェ(43箇所)ならびに若年就業支援を行っているNPO(非営利機関)に対し行った。さらにNEETにいち早く着目し、若年就職支援にも先進的なイギリスに訪問調査し、情報収集も実施した。 そのなかで職業教育には、個別の事情に応じたカウンセリングと、個人と企業の接点を形成するコンサルティングの重要性を再確認した。あわせて若年本人の主体的なキャリア形成行動を発起する上では、カウンセリング機能とコンサルティング機能について、分化型ではなく統合型が有効であるという仮説を見出した。従来の職業教育のでは、求人側の事情に応じてそれに適合する求職者の適職ならびに適性発見が当然とされてきた。しかし、求職者ならびに求人側のマッチングについての満足度を高めるためには、むしろ求職側の能力および選好を同一化した上で、それに応じた個別の求人開拓を行うことがより有効である可能性が高い。今後は仮説の妥当性を実証的に検証し、学校における職業教育の有効性を評価する基準の構築を目指す。 併せて本年度は、実際にいくつかの高校や中学を訪問調査し、実際の職業教育もしくはキャリア教育を実施する際のポイントならびに課題を個別に聞き取り調査した。それらの調査に基づき研究グループ内での綿密な討議と検討を踏まえ、本年は学校における職業ならびにキャリアについての具体的な教育資料として「14歳からの仕事道」(理論社)を刊行した。 来年度は、これらの資料を利用しながら、上記の仮説を前提に、実際に若年に対して有効な職業教育の内容を具体化することを目指したい。
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Research Products
(2 results)