2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16330039
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
玄田 有史 東京大学, 社会科学研究所, 助教授 (90245366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒澤 昌子 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (40275813)
神林 龍 一橋大学, 経済研究所, 助教授 (40326004)
本田 由紀 東京大学, 大学院情報学環, 助教授 (30334262)
佐藤 香 東京大学, 社会科学研究所, 助教授 (10313355)
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Keywords | キャリア教育 / フリーター / ニート / 職業希望 |
Research Abstract |
学校におけるキャリア教育の意義と効果が問われている。1990年代から2000年代初頭を通じ、若年就業はさまざまな困難に直面してきた。若年完全失業率は上昇し、非正規雇用として離転職を繰り返す「フリーター」増加も社会問題となった。近年はフリーターと異なって就業をしておらず、かつ失業者のように求職活動もしていない無業者である「ニート」の増加も問題化している。これらの安定した能力開発や就業機会が得られない若者の増加は、将来の日本社会を不安定化させるものとして危惧されている。特にニート状態にある若者の実態を調査すると、やりたいことがみつからず、働く自分の能力に希望を見出せないために就業出来ないといった特徴がみられる。 現在、キャリア教育として職業意識の涵養を学校段階で実施することの必要性が高まっている。今年度の研究では、「職業と希望に関するアンケート調査」と「仕事と生活に関するアンケート調査」を実施し、学校における望ましい職業教育プログラムの骨格づくりを検討した。 20〜49歳に行ったアンケート調査によると、過去の小学6年、中学3年時点でなりたい職業を持っていたのは、60〜70%にのぼっていたが、実際、希望する職業に就いた経験があるのは、それぞれ8%、15%にすぎないことがわかった。しかし、その一方で労働経済学の実証分析手法を用いて、仕事にやりがいを経験したことがある割合を求めると、小中学生時代に職業希望を持っていなかった場合に比べ、希望を持っていた場合の方が、その割合は有意に高くなっていることが確認された。さらに当初の希望を断念した後も、状況に応じて別の希望に軌道修正してきた場合ほど、やりがいを経験しやすいことも統計的に確認された。上記の結果から統計的事実として踏まえた上で実践的な指導を行うことにより、キャリア教育の効果を高めることが示唆された。
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Research Products
(3 results)