2004 Fiscal Year Annual Research Report
世代間・地域間の資源配分を評価するための動学的応用一般均衡モデルの開発
Project/Area Number |
16330040
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伴 金美 大阪大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (30027578)
|
Keywords | 応用一般均衡モデル / 世界モデル / 世代重複モデル / 地球環境モデル / 京都議定書 |
Research Abstract |
第一に、2000年基準の産業連関表、国民経済計算勘定、世界エネルギー機関(IEA)のエネルギーデータベース、同二酸化炭素排出データをマッチングさせ、二酸化炭素排出量を明示的に取り入れた日本経済に関する応用一般均衡モデルの均衡データセットを作成した。その均衡データセットを用いて、家計や企業の動学的最適化行動に基づいて日本経済の動学的応用一般均衡モデルのプロトタイプモデルを作成し、京都議定書のよる二酸化炭素排出削減の費用と産業構造の変化、経済厚生に与える影響評価を試みた。分析の結果によれば、二酸化炭素排出抑制が特定の産業に対し大きな影響を与えることが確認された。 第二に、日本経済の応用一般均衡モデルのプロタイプを基本として、米国パデュー大学で開発されたGTAPデータベースと世界エネルギー機関(IEA)のエネルギーデータベース、同二酸化炭素排出データベースとマッチングさせ、世界規模での均衡データセットを作成した。その均衡データセットを用いて世界経済の多部門・多地域型動学的応用一般均衡モデルのプロタイプモデルを作成した。モデルの基本構造は、日本経済の動学的応用一般均衡モデルと同じであるが、各国・地域のエネルギー効率の上昇の違いを反映した変更を行った。プロトタイプ多部門・多地域型動学応用一般均衡モデルを用い、京都議定書に盛り込まれた政策手段を用いて二酸化炭素排出を抑制するために提案されている諸制度の評価を行い、国際的な産業立地に与える影響評価を行った。得られた結論は、京都議定書における排出権取引制度は、日本の削減費用の減少に貢献するが、ロシアの独占力にも影響されることが明らかにされた。さらに、削減国から非削減国への二酸化炭素排出の漏れは30%〜50%あるが、もし米国が議定書に復帰すれば、漏れは半分にとどまることが明らかにされた。
|