2006 Fiscal Year Annual Research Report
施設介護サービスの提供主体に対する適切な規律づけに関する研究
Project/Area Number |
16330047
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岸田 研作 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 助教授 (30346407)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
知野 哲郎 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 教授 (40171938)
藤井 大児 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 助教授 (50346409)
谷垣 静子 鳥取大学, 医学部保健学科, 教授 (80263143)
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Keywords | 介護保険 / 特別養護老人ホーム / グループホーム / 介護職員 |
Research Abstract |
特別養護老人ホームの職員の就業継続意思に影響する要因の分析 目的 わが国は、現在急速な少子高齢化を経験している。少子高齢化は、介護を必要とする高齢者の増加をもたらすと同時に、介護労働者の供給源となる若年労働力の減少をもたらす。また、景気の回復も3Kといわれる介護労働市場への労働供給を抑制する可能性が考えられる。そのため、今後必要な介護労働力を安定的に確保するには、介護労働者の労働条件を見直す必要がある可能性がある。本稿の目的は、介護老人福祉施設に勤務する介護職員の仕事継続意思と仕事満足度に影響する要因を明らかにすることで、改善すべき労働条件を明らかにすることである。 方法 データは、筆者らの独自調査である。対象は、施設長が率直に意見交換を行うことを目的としたある団体に所属する54の介護老人福祉施設で働く641人の介護職員である。調査時期は2006年1月で、調査法は郵送自記式である(有効回収率42.5%)。仕事継続意思と仕事満足度をそれぞれ従属変数、個人属性・労働環境を説明変数とする回帰分析を行った。仕事継続意思に加えて、仕事満足度を分析対象とした主な理由は、仕事継続意思は実際の仕事継続(離職行動)と一致しない可能性があるため、密接に関連すると考えられる他の指標を用いた分析を行うことで、結果の頑健性を確認するためである。仕事継続意思(「現在の職場で働き続けたい」、「別の介護の職場に移りたい」、「介護の仕事をやめたい」)を従属変数とした推定は、多項プロビット・モデルで行った。全体的な仕事満足度に関する分析の推定法は順序プロビット・モデルである。労働供給や仕事満足度には、労働者自身の賃金の絶対水準ではなく、性別・学歴など類似の属性を持つ労働者との賃金格差が影響するという報告がある。そのため、「相対賃金」を説明変数とする推定も行った。 結果 仕事継続意思の結果:仕事継続意思の内わけは、「現在の職場で働き続けたい」(61.8%)、「別の介護の職場に移りたい」(20.3%)、「介護の仕事をやめたい」(17.9%)であった。「別の介護の職場に移りたい」を選択する要因として、夜勤がある、賃金が低い、施設長のリーダーシップが低い、男性、職場に相談相手がいない。「介護の仕事をやめたい」を選択する要因として、有給休暇がとりにくい、職場の人間関係が悪い、施設長のリーダーシップが低い、不健康、職場に相談相手がいない。相対賃金は有意でなかった。 総合的な仕事満足度の結果:仕事満足度を上昇させる要因として、勤務シフトの希望が通る、職場の人間関係がよい、職場に相談相手がいる、施設長のリーダーシップが高い、健康である、賃金が高い。相対賃金は有意でなかった。賃金が仕事満足度に与える影響は、他の労働条件と比較すると、相対的に小さかった。
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Research Products
(1 results)