2004 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ型福祉国家財政:財政再建とアメリカ的市場論理
Project/Area Number |
16330057
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渋谷 博史 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (00226193)
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Keywords | アメリカ / 連邦財政 / 財政再建 / オン・バジェット / オフ・バジェット / 信託基金 / 社会保障年金 / 国債管理 |
Research Abstract |
財政学の視角から、近年のアメリカ財政再建のプロセスの中に位置付けながら、福祉国家の重要分野を検討してきた。長年アメリカ型福祉国家の各分野の実証研究に携わってきた研究者が、これまでの研究蓄積をベースとし、歴史的な背景も十分に踏まえて、1990年代の冷戦終焉と「ニューエコノミー」的状況下で画期的に進行したアメリカ型福祉国家の再編という内実を盛り込んで、財政の構造変化と再建を総合的に分析することを試みた。 具体的には、アメリカ連邦財政の1980年代及び1990年代における予算及び決算の推移を分析した。財政再建の3つの要因、すなわち好況の持続による税収増加と、冷戦終焉による軍事支出の削減と、福祉関連支出のスリム化について、計数的に分析した。オン・バジェットとオフ・バジェットに分けると、後者には社会保障年金の信託基金があり、その積立金が黒字の累積として現れ、前者については包括財政調整法等による緊縮財政策が効果を発揮して赤字を解消したといえるが、前者のオフ・バジェットの中にも、公務員年金信託基金やハイウェイ信託基金が含まれており、そのような特別会計と、一般会計としての連邦基金のレベルまで踏み込んで、一つ一つの基金の財政収入及び支出の動向まで検討した。また、最大規模の社会保障年金信託基金について、財務省資料と社会保障庁資料で微妙にずれており、それらをつなげると同時に、国債管理の側面とも、関連付けることができた。
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