2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16330060
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
仁科 一彦 大阪大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (30094311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小谷 眞一 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10025463)
吉本 健一 大阪大学, 大学院・法学研究科, 教授 (80031863)
長井 英生 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (70110848)
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Keywords | デリバティブズ / 資産価格理論 / 確率解析 / スパンニング / パレート改善 / 市場ルール / 取引デザイン / 情報生成 |
Research Abstract |
本研究の初年度の成果を、それぞれのグループの研究目的を基準にして報告する。確率・数学グループの目的はデリバティブズの価格形成に関する基礎理論を再検討して、体系的に確立することであり、長井『Risk-sensitive portfolio optimization with full and partial information,』,『Risky fraction processes and Problems with Transaction Costs』および小谷『Thermodynamic limit of relative Fredholm determinant of Green operators for random Schrodinger operators』,『On a condition that one-dimensional diffusion processes are martingales』は大きな貢献をしている。経済学グループの目的はデリバティブズの経済厚生上の意義と役割を厳密に検討したうえで整理することであるが、仁科・嘉本『ファイナンス理論の展望』に結実した。そこでは、いわゆるSpanningに関する議論は誤解が多く、デリバティブズは既存資産の集合によって複雑可能な契約であるから経済厚生上の追加的な貢献はないという主張を論理的に否定するものである。法学グループの目的は、吉本『資本と準備金』,に展開されたように、デリバティブズ関連法令とその前提となる考え方を、重要かつ象徴的な部分について再検討することである。全体として、本研究を計画した時点における初年度の目的は十分に果たしていると考えられる。とりわけ確率・数学グループの貢献は著しいものであり、次年度の計画内容にまで部分的に進んでいる状況である。約3週間滞在なさったLaurent教授との議論は最先端の理論構築へ向けて有意義な収穫であった。また、3月にウイーンで行う予定の高等研究所Polesek教授との議論も大いに期待が持てる。なぜなら、彼は本研究の問題意識とアプローチの方向性について強い興味を示しており、同僚達との相互研究発表を準備するなお、非常に大きな期待を持って迎えてくれるからである。
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Research Products
(6 results)