2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16330066
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Research Institution | Kyushu International University |
Principal Investigator |
清水 憲一 九州国際大学, 経済学部, 教授 (30140833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長島 修 立命館大学, 経営学部, 教授 (60121612)
迎 由理男 北九州市立大学, 経済学部, 教授 (70125665)
池田 憲隆 弘前大学, 人文学部, 教授 (60183159)
時里 奉明 筑紫女学園大学, 文学部, 助教授 (80320373)
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Keywords | 官営製鉄所の創立 / 古典的研究の再検討 / 官営製鉄所の歴史的性格 / 企業組織 / 官業財政 / 原料借款 / 製鉄所労働者 / 第1期拡張 |
Research Abstract |
共同研究第2年度にあたる平成17年度は、夏・春2回の合宿研究会を中心に運営した。 夏季は9月7・8日、太宰府で合宿をした。当初計画では室蘭市で、日本製鋼所資料調査を兼ねて行う予定であったが、調整がつかず、変更した。研究会では、時里「製鐵所創立期における熟練の形成」、迎「製鉄原料借款成立過程の再検討」、池田「1880年代後半における海軍軍拡の構想と実施」、長島「創立期製鐵所の組織と管理」、清水「官営八幡製鐵所の第1期拡張」が報告された。この研究会を通して、官営製鐵所の「創立期」の対象時期を海軍省所管製鋼所案に始まる建設構想段階から、創立事業としての第1期拡張終了までであること、共同研究の対象を構想段階から建設後の製鐵所のあり方に移行することが確認された。このもとで、個人研究の分担テーマを若干変更することにした。 春季は、これも日程調整に手間取り、3月22〜24日に呉市で行った。長島氏は体調回復がおもわしくなく、欠席となったが、当初計画通り寺西氏の研究協力をえることができた。迎「製鉄原料借款成立過程の再検討」は中国での資料調査を踏まえた中間報告をし、大冶鉄山を巡る国際競争のなかに日本政府の借款政策を位置づける方向性を示した。時里は従来の研究において手薄と思える製鐵所労働者の生活条件、とくに住宅問題を中心に取り上げ、製鐵所の労働者管理・福利厚生施設との関連を問うために「官営八幡製鐵所の住宅政策」を報告した。清水「創立期のコークス・耐火煉瓦問題の克服」は、前回研究会においてコークス問題を確認しておきたいというメンバーの要望に応えて整理されたものである。池田「兵器用鋼材に関する研究史の論点と史料について」は陸海軍工廠サイドから、軍工廠の兵器用鋼材生産と製鐵所の関連性を整理し、寺西「国防政策よりみた明治前期製鉄需要」は陸軍の火砲素材生産・輸入の動向と製鉄所構想の関連性を示した。 この研究会では、これら報告と長島「創立期製鐵所の組織と管理」を加えて、来年度には「中間報告」として整理し、その内容の充実を計って本研究の「研究成果」としていくことが確認された。 史料・文献整備では、『三井物産支店長会議議事録』『製鉄研究会記事』(1〜70号、M44〜T12)という貴重な文献を整備できた。基礎史料集の作成は、それぞれ継続中である。
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