2005 Fiscal Year Annual Research Report
組織における「分配の公正」と「自己実現」-仕事意識の日英比較研究
Project/Area Number |
16330103
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
渡辺 聰子 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (30220883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今田 高俊 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (00107517)
綿貫 譲治 創価大学, 文学部, 教授 (80053560)
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Keywords | 仕事意識 / 自己実現 / モティベーション / 自己組織性 / 人的資源管理 / グローバル化 / 企業活動 / イギリス |
Research Abstract |
平成17年5月に研究会を開催、メンバー全員で本年度の全体計画を策定し、成果発表の方法について話し合った。8月に研究代表者・渡辺が渡英し、英国企業(製造業)において管理職、人事担当者、及び従業員に対し面接調査を実施した。この間、渡辺はロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのアンソニー・ギデンズ教授と研究会を持ち、研究課題について討論した。また10-11月には、千葉に所在する日本企業(大型小売業)の管理職、人事担当者、及び従業員を対象に面接調査を実施した。面接調査により得られたデータを分析した結果、以下のような知見が得られた。 1.日本では、多くの企業が市場原理の導入によって、業績の低迷から脱却しようとしている。現在雇用を伸ばしている大型小売業や外食産業では、雇用のフレックス化が進み、正社員の数が削減され、パートタイマーや契約雇用者の割合が増大している。こうした産業においては、必要労働の8-9割を非正社員に依存しているケースも多い。このような職場では、今や大多数を占めるようになった非正社員のモティベーションをいかにして維持・増進するかが業績向上の重要な鍵となっており、彼らに対する人事制度の変革が進められている。2.これに対し、英国ではサッチャリズムがもたらした市場至上主義への批判から、ブレア政権下では「社員重視」の経営への方向転換がなされている。たとえば英国政府が推進する「仕事と生活のバランス」に関する包括的アジェンダにより、企業ではフレックス・タイムや母親・父親のための育児休業など、「家族に優しい」フリンジ給付が制度化され、育児を支援する職場環境の整備が図られている。その結果、より良い雇用環境を提供することのできる大企業の正社員の満足度は向上する傾向にある。しかし一方、そうしたゆとりのない中小企業では、有能な社員を確保することがますます困難になっており、両者の格差が拡大する傾向にある。さらにアジェンダ関連の法律の条項には、子供の世話、特に幼児の世話に関する規定しか存在しない。法律の実施に伴い、幼児を抱える同僚が帰宅したり、フレックス・タイムを実行する上でより大きな権利を持つようになるため、家族の世話をする責任の無い社員は不利な立場に置かれるという不満も出ている。
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Research Products
(14 results)