2006 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害児に対する会話発達アセスメント方法と支援プログラムの開発に関する研究
Project/Area Number |
16330130
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
長崎 勤 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 教授 (80172518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 信也 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 教授 (60251005)
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Keywords | 明確化要請 / 会話 / 修復 / トッピクスの維持 / ゲーム / ナラティブ / 広汎性発達障害児 |
Research Abstract |
[研究I]談話発達のアセスメントのための基礎研究 典型発達幼児5,6歳児を対象に、「マクドナルド・ストーリー」を聞かせ、(1)視覚的な手がかりを用いない「手がかりなし条件群」(2)物語の中心要素3場面の絵カードを視覚的手がかりとして提示する「中心要素条件群」(3)物語の周辺要素3場面の絵カードを視覚的手がかりとして提示する「周辺要素条件群」に分け、ナラティブの理解得点、ストーリー・グラマー(story grammar)分析、結束成分析などを行い、ナラティブ理解の発達とその要因を分析した。その結果、理解得点では6歳児の方が5歳児よりも物語をよく理解しており、中でも周辺要素条件において得点が高いことが明らかになった。ナラティブの産出は基礎分析において、産出数(形態素語数・CU数)が6歳児の周辺要素条件で他の2条件よりも多かった。 [研究II]会話の発達支援プログラムの開発と実験的支援 1.明確化要請発達支援の実験的指導 相手から発話の修正を求められても答えられなかったり、相手の曖昧な発話に聞き返したりすることが困難な広汎性発達障害児に対し、曖昧な情報の伝達を含みやすい「着せ替えゲーム」を用いて相手の明確化要請に応じること、また、相手の曖昧な発話に対し明確化要請を行うことを指導した結果、自発で生起するようになりプローブ期においても安定していた。指導期では、修復に加え、反復、付加も生起するようになり、プローブ期では、付加による修復が増加する傾向がみられた。 2.パーソナルナラティブ発達支援の実験的指導 自己の経験を他者に語ることが困難な8歳の広汎性発達障害児に対し、擬似的な経験を時系列的に配置した「さいころゲーム」を用いて、経験を時系列的に言及することを支援した。その結果、指導期では、援助によりCU数が増加した。ま接続詞(順接)などが生起するようになった。
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