2005 Fiscal Year Annual Research Report
多様な長期記憶の形成を担う機能的神経回路の活動について
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16330140
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
櫻井 芳雄 京都大学, 大学院・文学研究科, 教授 (60153962)
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Keywords | 神経回路 / 記憶 / 学習 / マルチニューロン活動 / スパイク・ソーティン / ラット |
Research Abstract |
昨年度確立した音条件性位置弁別課題、すなわち、刺激として周波数の異なる2種類の音刺激(音A、音B)、反応として左右どちらかの穴へ鼻を入れるノーズポーク反応(反応R、反応L)を用い、音A→反応R、音B→反応Lという対応を学習させる課題をラットに訓練し、課題を学習する約3日間のプロセスをとおして、海馬と嗅内皮質のマルチニューロン活動を連続記録した。そして、これも昨年度確立した独立成分分析(ICA)を応用した独自のリアルタイム式スパイク・ソーティング法を活用することにより、記録したマルチニューロン活動を個々のニューロン活動に分離し、さらに興奮性の錐体ニューロンと抑制性の介在ニューロンも区分し、従来の化学的シナプスだけでなく電気的シナプス(gap-junction)を介したニューロン間結合も検出した。またマルチニューロン活動と同時に、ラットの行動もビデオシステムで記録し、個々のニューロン活動や複数のニューロン間の相互作用とラットの行動を詳細に対応づけた。本年度得られた結果から、個々のニューロン活動、化学的シナプスを介したニューロン間の相互作用、電気的シナプスを介したニューロン間の相互作用の全てが、課題を行っているラットの行動の違いにより変化し得ることがわかった。また学習の進行にともない、個々のニューロン活動は増大し、ニューロン間の相互作用もより明確に生じるようになるが、異なる課題に移行し学習を新たに開始すると、それらの増大したニューロン活動やニューロン間の相互作用がいったんリセットされることも、一部のデータで見られた。
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Research Products
(5 results)