2006 Fiscal Year Annual Research Report
多様な長期記憶の形成を担う機能的神経回路の活動について
Project/Area Number |
16330140
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
櫻井 芳雄 京都大学, 文学研究科, 教授 (60153962)
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Keywords | 長期記憶 / 神経回路 / ニューロン / シナプス結合 / 海馬 / ラット |
Research Abstract |
17年度に引き続き、ラットが複数の課題を学習していくプロセスをとおし、同じマルチニューロン活動を記録し続け解析した。今年度は海馬と嗅内皮質からの同時記録を加えた。具体的な方法と成果は下記のとおりである。 (1)音条件性位置弁別課題を一つの音ペア(A・B)について学習していく数日間のプロセスをとおし、海馬と嗅内皮質からマルチニューロン活動を同時記録し続けた。 (2)次に、音を別のペア(C・D)に変え、やはりその課題を習得していく数日間のプロセスをとおし、先と同じマルチニューロン活動を同時記録し続けた。 (3)さらに、音を別のペア(E・F)に変え、同様にその課題を習得していく数日間のプロセスをとおし、同じマルチニューロン活動を同時記録し続けた。 (4)記録したマルチニューロン活動から個々のニューロン活動を分離し、それらの活動が記憶を形成するプロセスでどのように変化していくのかについて、また、次に異なる音刺激に対する記憶を新たなに形成していく際、それら同じニューロンがどのような活動を示すのかについて、それぞれ解析した。 (5)同時に、機能的神経回路を構城する機能的シナプス結合とその変化について、相互相関解析と自己組織化マップの作成により明らかにした。 (6)これまでの予備的な結果から、個々のニューロン活動については、新たな記憶の形成に伴い、一旦形成した差異的な活動をそのまま維持するものと、一旦形成した差異的活動を消去してから再度差異的に活動するものに分かれることがわかった。またニューロン間の機能的シナプス結合についても、一旦形成した結合を維持するものと消去するものに分かれることがわかった。今後のデータの蓄積で最終的な結論を出す予定である。
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Research Products
(5 results)