2006 Fiscal Year Annual Research Report
顔の動きが顔認知に及ぼす効果-眼球運動分析による検討-
Project/Area Number |
16330144
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
長田 佳久 立教大学, 現代心理学部, 教授 (00133455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本間 元康 立教大学, 現代心理学部, 助教 (20434194)
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Keywords | 表情認知 / 顔の運動情報 / 眼球運動分析 |
Research Abstract |
相手の感情を探る時、相手の表情からの手掛かりに依存することが多い.しかも連続的に変化する表情を容易に,しかも迅速に認知することができる.これまでの研究では、顔の運動情報が表情認知に付随的な促進を与えることは示唆されてきたが、どのような手掛かりが促進効果の要因になっているか分かっていなかった.本研究は顔の運動情報が我々の表情認知にどのような手掛かりとなっているかを実験心理学的に検討した.顔の運動情報効果を明確に示すために表情認知課題実験を行ない、同時に観察者の眼球運動を測定した.実験1では動画像と静止画像の比較を行ない、動画像の正答率が静止画像に比べて高くなること、さらに観察者の注視点は顔の中心付近に集中し、バラツキが減少することを示した.これらの結果から、観察者は表情の全体的な手掛かりを獲得するために眼球を顔の中心付近に停留させていることを示唆した.実験2では、実験1で示された現象が表情認知特有であるか否かを検討した。実験1で用いた表情画像を倒立提示させ、観察者の眼球運動を測定した.その結果、動画像の正答率は静止画像と同程度まで低下し、注視点のバラツキも増加した.これらの結果は、動画像におけるバラツキの減少は正立提示に限定されたものであり、顔の運動情報効果は布置情報に影響を受ける表情認知特有の現象であることが示唆された.本実験結果は、顔の運動情報の処理はオブジェクト認知に基づいているわけではなく、表情認知に基づいていることを示唆する.ヒトは日常場面で構築している顔の動きに対する表象に基づいて表情を解釈している可能性を示した.
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