2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16330156
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Research Institution | Miyazaki Municipal University |
Principal Investigator |
王 智新 宮崎公立大学, 人文学部, 教授 (10265035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 直樹 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (50251567)
藤澤 健一 福岡県立大学, 人間社会学部, 助教授 (00301812)
広瀬 義徳 松本短期大学, 幼児教育学科, 助教授 (90352822)
趙 軍 千葉商科大学, 商経学部, 教授 (30301831)
蘇 林 北海商科大学, 商学部, 助教授 (00364274)
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Keywords | 植民地教育 / 皇民化教育 / 奴隷化教育 / 教育ヘゲモニー / 同化 / 史料の共有化 / 認識の深化 / オーラル・ヒストリー |
Research Abstract |
日本の遂行した植民地教育の全貌解明を目的とした本研究は三年間経過し、研究をさらに掘り下げて下記のような調査を進めてきた。 植民地教育についての研究は、何よりも史料先行である。いままでは、共同研究と称して、日本の学者が中国や韓国に出かけていって、そこら辺にある資料を、手段を選ばずに手に入れて持って帰り、それを元に論文を書いたり、資料集を出版したりした、と旧植民地国々の学者から非難が上がっている。そのような旧来のパターンを打破し、新しい協力体制が求められている。一見、華やいだ植民地研究の裏には、実は旧植民地主義者と通底する発想がある。決して理想とはいえない今日の研究状況を改善するためには、中国や韓国など旧植民地国家の学者とともに協力して研究に取り組むべきであると痛感した。そして、何らかの協力システムの構築を試みようと実践した。そのような構想、あるいは実践は、今度の科研費による一連の研究の目標となる。 本研究は、モノ(記念碑ほか)、事件(教員弾圧事件ほか)、ヒト(人物への聞き取りほか)を軸に、学術史調査と資料調査を中心に展開してきた。無論、それは画一的ではなく、それぞれが自分の研究ベースに合わせて実施していった。そして、われわれは、理論的思索と実践的な考察との結合、学術史調査と資料調査との結合、フィールドワークをしながら思考の深化を目指すという認識を韓国・中国ならびにその他の旧植民地国家と地域の学者と共通した。さらに、課題の「植民地教育実態研究」については、学校教育に限定するのでなく、社会教育、職業教育、書道、音楽、言語など人間形成の社会的な過程という広い意味での教育という理解を元に、植民地における文化・教育を通じた、人間の支配・統制の問題について多元的で立体的にその全貌の解明を努めてきた。期間中、沖縄国際大学、中国重慶の西南師範大学、韓国忠北大学において植民地教育研究の国際シンポを開催して、意見交換や討論を深めてきた。今回の研究の成果も韓国と中国の学者と分かち合った。共同の研究調査の過程において、当該研究の深化を願い、長期目標として、東アジア共通の植民地教育史の構築、植民主義研究叢書の刊行と資料のデーターべースの構想も纏められ、さらに、データーべースの方向性、利用者の範囲とサービス提供の対象など、これから努力していかなければならないという課題も見いだされた。
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Research Products
(8 results)