Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 昌信 九州大学, 大学院数理学研究院, 教授 (70202017)
古閑 義之 福井大学, 工学研究科, 助教授 (20338429)
山根 宏之 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 助教授 (10230517)
松村 昭孝 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (60115938)
伊達 悦朗 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (00107062)
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Research Abstract |
当該年度は,半単純でないカイラル代数と量子群との関係を共形場理論を駆使して解析した。具体的には,W(p)代数と呼ばれる,半単純でないカイラル代数の表現論を詳細に研究した。このカイラル代数は2p+1個の既約表現をもち,その射影被覆を具体的に構成した。表現の圏はp+1の充満部分圏の直和であり,そのうちの2個は半単純で一つの既約表現をもつ。その他の圏は2個の既約表現をもち,その射影被覆がわかる。以上の構成法から,W(p)の表現の圏はsamall量子群と呼ばれる量子群の表現の圏と圏同値であると予想され,また,証明に取りかかる段階まで達した。 一方,small量子群は半単純でない代数である。現在まで,半単純な量子群の場合には普遍R行列を構成し,それにより,結び目や絡み目の不変量を構成することが可能であった,これは,対応する共形場理論がモジュラー関手であることに相当する。当該年度のもう一つの成果は,small量子群からも結び目や絡み目の不変量を構成することがかのうであり,かつ,この不変量は新しいものであることを明らかにした。 以上の2点の成果から,small量子群とW(p)代数の関係を共形場理論の立場,つまり,モジュラー関手の立場から研究を進める動機付けとなっている。 最後に,一般リーマン面上の共形場理論の構成は基礎となるカイラル代数が半単純である場合には,因子化定理を含めて完成し現在論文執筆中である。
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