2006 Fiscal Year Annual Research Report
マルチウェーブレット・フレームとその調和解析への応用
Project/Area Number |
16340035
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新井 仁之 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (10175953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勘甚 裕一 金沢大学, 大学院自然科学研究科, 教授 (50091674)
立澤 一哉 北海道大学, 大学院理学研究科, 助教授 (80227090)
吉田 朋広 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (90210707)
中村 周 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (50183520)
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Keywords | ウェーブレット / 調和解析 / 偏微分方程式 / 視覚 / 錯視 / フレーム |
Research Abstract |
平成18年度,代表者の新井仁之はウェーブレット・フレームとその視覚情報処理への応用を研究した.まず新井仁之は本年度,視覚の研究に適した新しいウェーブレット・フレームを構成した(新井しのぶと共同).このウェーブレット・フレームは優れた周波数選択性と方位選択性を持っている.特に,任意階までのガウス微分フィルタに形状が類似したフィルタを有している.従来のガウス微分フィルタはIIR(infinite impulse response)であるが,今回提案のものはFIR(finite impulse response)である.しかも完全再構成性をみたしている.このようなフィルタバンクは人間の視覚情報処理のうち,主にニューロンの水平結合による大域的な非線形処理の数理モデルの研究をするために非常に適したものである.これまで新井仁之が双直交ウェーブレットを基にして構成した視覚系の数理モデルとそれによる錯視の研究は,本研究で構成した新しいウェーブレット・フレームを用いることにより,さらに改良できると考えられる.本年度はこのフィルタバンクにより高階ガウス微分類似フィルタの視覚情報処理における役割を研究した.また新しいウェーブレット・フレームを使った画像処理も行い,これが非常に優れた方位分離性と周波数分離性をもっていることを実証した.今後の画像処理への応用が期待できる.新井仁之はこれらの研究結果を2007年冬に行われた日本視覚学会で口頭発表し,さらに論文の作成も行った.以上のほか,これまで行ってきた色覚の数理モデルと色の錯視の研究も引き続き行い進展させた.それらの成果の一部を11.に記職の新井仁之の論文として発表した.本科研費分担者は次のような研究成果を得た:勘甚裕一は直交関数系の調和解析の研究を行った.特にチェザロ作用素のLp空間やハーディ空間での有界性を証明した.中村周は解析的波面集合に関する平滑化作用について新しいアイデアによる研究を行った.吉田朋広は確率微分方程式のサンプリング問題を研究し,ジャンプのある確率微分方程式の離散観測からパラメータを推測する問題に対して推定関数を考案した.
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Research Products
(5 results)