2006 Fiscal Year Annual Research Report
タイヒミュラー測地流の周期軌道分布と力学系ゼータ関数に関するエルゴード理論的研究
Project/Area Number |
16340048
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
盛田 健彦 広島大学, 大学院理学研究科, 教授 (00192782)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉野 正史 広島大学, 大学院理学研究科, 教授 (00145658)
松本 眞 広島大学, 大学院理学研究科, 教授 (70231602)
川下 美潮 広島大学, 大学院理学研究科, 助教授 (80214633)
須川 敏幸 広島大学, 大学院理学研究科, 助教授 (30235858)
仲田 均 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (40118980)
|
Keywords | タイヒミュラー空間 / 力学系ゼータ関数 / 熱力学形式 / 写像類群 / エルゴード理論 |
Research Abstract |
本研究の目的は,上半平面を種数2以上の閉リーマン面のタイヒミュラー空間に,モジュラー群を写像類群に,モジュラー曲面を閉リーマン面のモジュライ空間に置き換えることによって,古典的なモジュラー曲面上で展開され,多方面で応用されている理論が,どのような形に拡張,あるいは,変貌するかを,力学系理論,エルゴード理論の視点から見極めようとする試みの一端をになうことである.当面の目標はタイヒミュラー測地流の周期軌道分布に関する素数定理型定理を特殊な場合に導くことである.前年度(平成17年度)は,あるクラスに属する繰り込まれたRauzy inductionに関する弱局所型中心極限定理を得たが,本年度(平成18年度)はその結果を同様のRauzy inductionに関する素数定理型定理の導出につなげるための精密化と一般化に重点をおいた.これについては,最近Bufetov氏がアーベル微分のモジュライ空間上のタイヒミュラー測地流に関する中心極限定理の導出のために準備したRauzy-Veech-Zorich inductionと呼ばれる特殊な繰り込まれたRauzy inductionに関する評価が,前年度の結果の精密化に応用できることがわかった.それによって,Rauzy-Veech-Zorich inductionに適当な繰り込みを行えば,得られた誘導変換の周期点分布は素数定理型定理をみたすという結論に到達できた.これはあるクラスに属するタイヒミュラー閉測地線の増大度に関する素数定理型定理と解釈することができ,不完全ではあるがこれまで得られた同種の結果に比べると期待していた結果により近いものであり,現在投稿に向けて作業を進めている.
|
Research Products
(6 results)