Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 正章 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (30030787)
梶原 健司 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助教授 (40268115)
稲場 道明 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助手 (80359934)
齋藤 雅彦 神戸大学, 理学部, 教授 (80183044)
原岡 喜重 熊本大学, 理学部, 教授 (30208665)
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Research Abstract |
稲場道明,岩崎克則,齋藤政彦は,今年度に受理された論文「安定放物接続のモジュライ空間,リーマン・ヒルベルト対応と第VI型パンルヴェ方程式の幾何学,第I部」(英文)の続編である「第II部」を完成し投稿した.上記の二論文は,確定特異点型の安定放物接続のモジュライ空間とそれに付随するガルニエ系について論じたものであるが,それらの結果を不確定特異点型の安定放物接続のモジュライ空間とそれに付随する退化ガルニエ系に一般化するべく,九州大学に何度も集って討論を重ねた. 岩崎は上原崇人と共に,パンルヴェ第VI方程式のポアンカレ回帰写像のなす力学系を考察した.特にポッホハマー・ループに沿うポアンカレ写像の周期軌道の個数を具体的に決定することに成功した.その結果周期軌道の個数は周期と共に指数関数的に増大することが明らかになった. また岩崎は,本科研費補助金を利用して参加した,京都大学における研究集会「微分方程式の代数解析」の講究録原稿として,これまでのパンルヴェ方程式の力学系的研究をまとめた概説論文を執筆した.更に,パンルヴェ方程式の力学系的な研究に資する目的で,K3曲面上の複素力学系についての勉強会を開き,力学系理論特有の理論構成についての知見を深めた. 吉田正章は古典的な保形関数であるラムダ関数の新しい無限積公式を見出し,その結果を出版公表した. 梶原健司は,パンルヴェ系(離散系を含む)を中心とした可積分系を取り上げ,超幾何解などの厳密解の構成,解の行列式構造と補助線形問題の新しい関わりなどについて考察した. 原岡喜重は,Galina Filipukとともに,中間重畳変換(middle convolution)を用いてパンルヴェ第VI方程式のベックルント変換,特にその中でも最も難しいD4型ディンキン図形の真ん中のノードに対応する変換を導出することに成功した. 佐藤榮一は,ある種の正規特異三次曲面の自己同型群を決定する問題に関わった.パンルヴェ第VI型方程式に対応するモノドロミー表現のモジュライ空間が,一般に特異点を持つ三次曲面になることから,岩崎は三次曲面の自己同型群,特にその固定点とパンルヴェ方程式の代数関数解との対応関係に関心を持つに至った.その解明は次年度以降の研究に示唆を与えるものと思われる.
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