2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16340050
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松井 卓 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (50199733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田崎 秀一 早稲田大学, 大学院・理工学術院, 教授 (10260150)
廣川 真男 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (70282788)
綿谷 安男 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (00175077)
廣島 文生 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助教授 (00330358)
中屋敷 厚 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助教授 (10237456)
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Keywords | 関数解析 / 非可換 / 無限次元 / ボーズ・アインシュタイン凝縮 |
Research Abstract |
平成17年度に行った研究は次のとうりである。 1.BECのジョセフソン流の研究 ボーズアインシュタイン凝縮(BEC=Bose Einstsein Condensation)は、U(1)ゲージ対称性の破れを伴うが、数学的にはKMS状態の極限で得られる状態が因子状態でないことを意味する。因子状態分解で得られる状態はU(1)ゲージ群で指定されるが、異なったU(1)ゲージ群の元で指定される2つの状態を結合させてできる状態をジョセフソン結合と呼ぶ。ジョセフソン結合では、2つの状態の温度が同じであっても電流が流れることが実験的に知られているが、これを数学的にモデル化した研究はこれまで存在しなかった。我々は、(物理学的には満足とは言えないが)自由粒子の場合のジョセフソン結合を考えて実際に粒子の流れるかを検討した。 その結果、間に有限自由度系を媒介する場合は確かにジョエセフソン流が流れることを示した。 2.ネットワーク上のBEC 通常ボーズアインシュタイン凝縮は低次元で起きないとされる。特に、自由気体では空間の次元が3次元以上でないと凝縮しないことは容易に示せる。ところがイタリアの物理学者Burrioni, Sodano等はネットワーク(グラフ)上で考えると、グラフの形状によっては低次元的な場合でもボーズ・アインシュタイン凝縮は起こると主張した。そこで我々は、彼らの研究を数学的に厳密な形で研究を行った。一般にグラフ上でラプラシアンに対応する作用素は隣接行列と離散ラプラシアンがあるが、離散ラプラシアンの場合には凝縮が起こる必要十分条件を従順グラフの場合に得た。また周期性のあるグラフでは隣接行列でも同種の結果を得た。 3.Haag dualityの研究 局所性のある量子論で、ある領域に局在する観測量のなす代数と、その補集合(又は因果的補集合)上の代数が、互いにcommutantと一致する時Haag Dualityが成立するという。Haag Dualityは局所場の量子論の基本的概念であるだけでなく、量子情報理論でも応用がある。 我々は1次元量子スピン系の並進不変純状態で、右半無限系と左半無限系の場合にCuntz代数への拡張を使いHaag dualityの証明を行った。
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Research Products
(5 results)