2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16340050
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松井 卓 九州大学, 大学院数理学研究院, 教授 (50199733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
綿谷 安男 九州大学, 大学院数理学研究院, 教授 (00175077)
田崎 秀一 早稲田大学, 大学院理工学術院, 教授 (10260150)
廣川 真男 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 教授 (70282788)
増田 俊彦 九州大学, 大学院数理学研究院, 助教授 (60314978)
植田 好道 九州大学, 大学院数理学研究院, 助教授 (00314724)
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Keywords | 量子スピン系 / 関数解析 / 作用素環 / 場の量子論 / entanglement / split property |
Research Abstract |
主として以下の2つの項目を研究した。 (1)無限自由度の量子系の部分系を取ったときの状態のEntanglementについてR.Werner(Braunschwick)のグループとの共同研究を行い、その一部分が完成した。一次元量子スピン系の純粋状態で右半分の無限系と左半分の無限系を考える。この2つの系で独立にある種の物理的操作を行い、いくらでも大きな数の極大なEntangled Stateを取り出せるための必要十分条件は、元の純粋状態がSplit性という弱い統計的独立性の条件が成立しないことを証明した。主な発展は、この定理の証明の最終的な困難さであったHaagの双対性を証明したことにある。状態がSplit性を持たない場合に量子スピン系におけるHaagの双対性の証明は、これまで誰も手がけてないように見える。Haagの双対性では、局在化した物理的観測量が生成するフォンノイマン代数と可換な代数を決定する。フォンノイマン代数のモジュラー理論を適用するとしても良い代数的構造がないと不可能である。この研究で考察している量子スピン系の場合は、元の物理的観測量が生成するフォンノイマン代数には何ら役に立つ代数的関係式は見当たらないがCuntz代数への拡張を考えると可能性が開ける。 今年の成果はCuntz代数のペアーのテンソル積の中にUHF代数とシフトを与える整数群の接合積から定まる部分代数が入っている事を発見し、その事実を用いてHaag双対性を証明したことである。 (2)Ruelle流の非平衡定常状態の類似としてボーズ凝縮した系でのジョセフソン流のモデル化の研究を引き続き行った。2種類の自由粒子系をつないで定常状態を考え、系の間の流れを調べる。2種類の系をつなぐ相互作用の形を上手く選ばないと全体の系の安定性が壊れて定常状態が上手く構成できない事が判明した。そのため系を安定にするような全粒子数の二乗に比例する相互作用をハミルトニアンに付加することを検討した。この相互作用はある種に平均場相互作用にあたり、かってBogoliubovを中心とするロシア・スクールで研究されている。平均場相互作用がある時のジョゼフソン流の計算には新しいタイプの(弱い非可換性のある)極限定理が必要であることが判明した。極限定理の証明はまだ出来ていない。
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Research Products
(6 results)