2006 Fiscal Year Annual Research Report
軟X線領域での酸素輝線を用いた宇宙のダークバリオン探査
Project/Area Number |
16340053
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
須藤 靖 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授 (20206569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樽家 篤史 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (40334239)
大橋 隆哉 首都大学東京, 都市教養学部, 教授 (70183027)
佐々木 伸 首都大学東京, 都市教養学部, 助教 (80262260)
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Keywords | 宇宙物理学 / X線天文学 / ダークバリオン / 軟X線分光 / 酸素輝線 |
Research Abstract |
理論的にはダークバリオンの大半は10万度から1千万度の温度をもつWarm/Hot Intergalactic Medium(WHIM)であろうと予想されている。この温度範囲のWHIMの場合、熱制動輻射によるX線強度は弱く、直接検出はほとんど不可能である。本申請では、赤方偏移が0<z<0.3に分布するWHIMからのOVII(561eV,568eV,574eV)ならびにOVIII(653eV)の輝線を観測することで宇宙のダークバリオンの空間分布をマッピングし、それから宇宙のバリオン進化史を推定する理論的枠組みの構築を目指している。 WHIM探査を目的としてわが国では軟X線精密分光観測ミッションDIOS(Diffuse Intergalactic Oxygen Surveyor)という小型衛星計画が検討されてきた。2007年にはヨーロッパ宇宙機構の2015-2025年の大規模ミッションの計画を選ぶ"Cosmic Vision"の公募に対して、日本が考案した4回反射望遠鏡を用いた広視野高エネルギー分解能のX線サーベイによる輝線マッピングと、GRBを光源とした宇宙論的距離での吸収線観測を組み合わせた日蘭伊共同ダークバリオン探査衛星"EDGE"提案した(den Herder, et. al.2007)。残念ながら結果は不採択に終わったもののダークバリオン探査専用衛星の実現を目指す国際的な動きは引き続き活発である。 今年度の実績としては、ドイツの研究者(Klaus Dolag氏)と共同で輻射冷却、星形成・超新星爆発によるガス加熱、重元素進化を考慮した宇宙論的流体シミュレーションコードを開発し、実際にシミュレーションを数例実行した。このシミュレーションデータを用いて、近傍宇宙の銀河分布の模擬カタログを作成し、近傍銀河団に付随しているWHIMからの酸素輝線の検出可能性を詳細に論じた。また、背景クエーサーとガンマ線バーストのX線残光を利用してWHIMの吸収線を検出する可能性とその宇宙論的意義に関して詳細な研究を行った。さらにWHIMでは密度が低いため、元素は電離平衡からずれる可能性が指摘されていた。そこで、酸素の電離状態の時間発展を追うことで実際に電離平衡が成り立っていないことを示すとともに、異なる電離状態の酸素の輝線の強度比が電離平衡からのずれを表す指標になることを見つけた。
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Research Products
(4 results)