2004 Fiscal Year Annual Research Report
高速測光システムで探るブラックホール短時間変動の起源
Project/Area Number |
16340057
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
嶺重 慎 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (70229780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野上 大作 京都大学, 理学研究科, 助手 (20332728)
沖田 喜一 国立天文台, 光学赤外線天文学・観測システム研究系, 助教授 (60204096)
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Keywords | ブラックホール / 観測機器開発 / シンクロトロン放射 / 時間変動 / 磁気リコネクション / X線連星系 / 磁気ダイナモ / 逆コンプトン散乱 |
Research Abstract |
ブラックホール天体からの放射は激しい時間変動を示す。本研究課題は連星系ブラックホールからの可視光を0.1秒以下の時間分解能で観測し、その時間変動の起源を明らかにしようとするものである。今年度は、装置組み立てと、短時間変動の理論的研究を並行して行い、以下の結果を得た。 (1)高速測光システムの構築 浜松ホトニクスと協議し仕様を決定して、e2v社のCCD87というチップを使用した33枚/秒の画像の撮れる高速CCDカメラ、及びデータストレージシステムを開発した。このCCDカメラは飛騨天文台の60cm反射望遠鏡に取り付け、テスト撮影にも成功し、CCDカメラとしての規定の仕様を満たしていることを確認した。本観測に向け、観測システム及びデータ解析システムの開発が進行中である。 (2)磁気流体降着流・噴出流からの可視光放射の計算 3次元磁気流体(MHD)コードを使い、磁場を帯びた降着流から噴出する磁気タワージェットの長時間計算を行った。さらにこのMHDシミュレーションデータをもとに、モンテカルロ法により、放射スペクトルの計算を行った。その結果、ブラックホール近傍(10倍のシュバルツシルド半径)以内の領域から、強い可視光がうみだされ、しかもそれは短時間変動を示すことがわかった。 (3)超臨界降着流の放射流体力学シミュレーション エディントン降着率を超える降着流(超臨界降着流)の放射変動特性を理解するため、新しく2次元軸対称放射流体力学シミュレーションを実行した。このような高光度では、産み出された光子が大きな光学的厚みにさえぎられて放射は非等方的となる。その結果、見る角度により光度に最大10倍近くもの差が出ることがわかった。また対流・乱流発生により、放射は短時間で変動することを確認した。
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Research Products
(7 results)