2005 Fiscal Year Annual Research Report
凝縮系での低エネルギー核融合反応率の増大メカニズムの研究
Project/Area Number |
16340062
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
笠木 治郎太 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10016181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大槻 勤 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50233193)
結城 秀行 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40323050)
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Keywords | 低エネルギー核融合反応 / 金属中DD反応 / LiD反応 / 遮蔽エネルギー / 液体Li標的 / 阻止能 |
Research Abstract |
(1)大強度強度重陽子ビーム照射装置を用い、これまで調べてきた各種金属中でのD+D反応の測定を引き続き行った。今年度は、金属中でのD+D反応から放出される陽子(p)と三重陽子(t)の収量比(p/t)の精密測定をBeからAuまでの各種金属を対象に行った。この物理量は金属中の重陽子密度とは独立に、運動学的条件でのみ規定されており、運動学からの予想と比較することにより金属中での重陽子の運動に関する情報が得られる。結果は、いずれの金属にたいしても、p/t比は単純な運動学からの予想とは大きく異なることを示した。データから重陽子の運動に関する詳細な情報を得るために、金属中での入射重陽子の減速過程を解析するモンテカルロ計算のプログラムを開発中である。 (2)Li+D反応については、液体Li金属を標的に放出α粒子の測定が、入射エネルギー30〜100keVの領域にわたり行われた。反応収量に対して標的の温度依存性が測定され、固体から液体の相変化に伴い収量が階段状に増加する現象が見出された。また、液体状態では、入射エネルギーが高い場合には、温度の上昇とともに収量が増加するが、エネルギーが低い場合には、温度上昇に伴って収量が減少するという結果がえられた。これらの興味深い複雑な現象を理解するには、更なる系統的な測定が必要である。現在、液体中での阻止能と遮蔽ポテンシャルの二つの観点から得られたデータを解析している。
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