Research Abstract |
超高エネルギー宇宙線起源は、いまだ確立されるに至っていない。この問題に対する最も重要な情報の一つは、一次宇宙線の化学組成のエネルギー依存性である。我々は、これまでの研究で、南米ボリビア・チャカルタヤ山宇宙線研究所において、エネルギーが10^<15>eV以下の宇宙線に関してその化学組成を3つの異なる方法で測定し、それぞれ一致する結果を得た。それによれば、エネルギーの増加とともに、平均化学組成の原子番号の対数値が徐々に増加することが分かった。 そこで,本研究では,10^<16>eV以上の宇宙線の化学組成を決定することを目的としている.そのため,南米ボリビア・チャカルタヤ山宇宙物理学研究所に宇宙線空気シャワー観測のための新たな観測アレイの建設設置を進めている.昨年度までに,シミュレーション計算結果に基づき,各検出器の設置場所の選定,ならびに現地調査を行い,くい打ち,架台の建設開始,観測小屋の建設開始,信号ケーブルなどの諸必要物品の購入を行った.これに引き続き,本年度は,検出器の架台への設置,ケーブルの敷設,測定回路系の製作とテスト,検出器の基礎データの採取を行い,3月までにテスト観測を実施した.途中,雷による被害が発生し,多少,予定が遅れ気味であるが,ほぼ空気シャワーアレイの完成にこぎつけた.平成18年8月から10月まで,常定,松本(研究協力者,東工大M1)を,また,平成19年1月から3月まで,田島(研究協力者,理研技師)を現地に派遣し,現地研究協力者であるサンアンドレス大学付属物理学研究所長アルフォンソ・ベラルデ教授と協力し,以上の設置作業などを遂行した. 次年度は,採取データを精査し,各検出器,ならびに回路系の最終調整を完了し,定常観測を実施する. なお,本年度までの経過に関しては,日本物理学会にて口頭発表により報告した.また,平成19年8月にメキシコで開催予定の国際宇宙線会議でも報告する予定である.
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