Research Abstract |
本研究目的は,10^<16>eV以上のエネルギー領域における一次宇宙線の核組成を決定し,その結果示される核組成の急激な変化から銀河系内宇宙線の加速限界を確定し,銀河系内における高エネルギー宇宙線の起源を解明することにある.このため,本科学研究費を用いて南米ボリビア・チャカルタヤ山宇宙物理学研究所に新空気シャワーアレイの建設に取りかかった.そのため,本年度に常定,および,松本(研究協力者,東工大M1)を現地に派遣し,設置作業を行った.その結果,新アレイは,平成19年度半ばにほぼ完成し,予備実験を開始した.ただし,使用する検出器,信号ケーブルなどの大部分は旧来から使用していたものを用いているためか,予想以上のノイズが信号に乗っているため,観測を続行しつつ改良を行う必要がある.一方,そのほかのデータ収集系のハードウェアとソフトウェアは,順調に稼働していることを確認している.検出器特性など空気シャワーデータ解析に必要な校正用データを取得後,本実験を開始した.観測で得られたデータは逐次,日本に郵送し解析を行っている.また,実験と平行して,空気シャワーシミュレーションを行い,核組成決定の精度も検討し,次期研究手法(空気チェレンコフ光観測)に対する検討を行った.以上の途中経過は,2007年7月開催の国際宇宙線会議,および,2008年3,月開催の日本物理学会にて報告した.今後安定な観測を約5年間行い,イベントの蓄積につとめ,等頻度法により一次宇宙線エネルギーに対する核組成の結論を得,宇宙線起源の解明を行う.
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