2005 Fiscal Year Annual Research Report
非摂動的くりこみ群を用いた超対称非線形シグマ模型の研究
Project/Area Number |
16340075
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
東島 清 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10092313)
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Keywords | 超対称非線形シグマ模型 / 非摂動的くりこみ群 / 3次元シグマ模型 / リッチフロー / Einstein-Kahler多様体 / 超対称シグマ模型のくりこみ |
Research Abstract |
本研究計画では、2次元および3次元のN=2超対称非線型シグマ模型において、(A)解析的手法による非摂動的くりこみ群の研究、(B)数値計算による無限次元理論空間におけるくりこみ群の流れ、(C)超共形不変な理論相互の関係、(D)摂動論的にくりこみ不可能な理論のくりこみ可能性を明らかにすることを目的とする。この成果は、場の量子論だけではなく、弦理論、膜理論に於いても大きな意味を持つ。 平成17年度には目標(B)(C)を中心に研究するために、平成16年度に得られたくりこみ群方程式の固定点理論を解析した。2次元場の理論の固定点理論は、カラビ・ヤウ多様体になることが知られているが、3次元場の理論では、(異常次元を含む)場の全次元がゼロの場合には、固定点の理論がアインシュタイン・ケーラー多様体になることを見いだした。更に、その大きさだけに関するくりこみ群を解くことにより、スカラー曲率が正の場合には、この固定点が紫外固定点であることが分かった。スカラー曲率が正のアインシュタイン・ケーラー多様体は、コンパクトで対称性の高い多様体が存在するので、膜理論への応用の可能性も出てきた。膜理論でも、余剰次元はコンパクトな空間になる必要があるからである。 場が値をとるターゲット空間が実2次元の場合に、計算機による数値解析を行った。その結果、場の次元がゼロの場合には、ターゲット空間が2次元球面になるが、場の次元がゼロでなくなると、球面が歪みはじめ、場の次元が1/2になると球面は平坦になってしまい、それ以降は無限に拡がった空間になることが分かった。さらに、数値解析を行って、無限次元の理論空間において、2次元球面が紫外安定な解であることを示した。 これらの結果は、ロシアのDubnaにおける国際ワークショップ、および、ヘルシンキで開催された繰り込み群の国際会議で発表した。現在、これらの新しい結果をまとめて、投稿論文を作成中である。
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