2006 Fiscal Year Annual Research Report
レプトンフレーバー混合構造決定に向けたニュートリノ振動現象の研究
Project/Area Number |
16340078
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
南方 久和 首都大学東京, 大学院理工学研究科, 教授 (00112475)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 修 首都大学東京, 大学院理工学研究科, 助教授 (50183116)
北澤 敬章 首都大学東京, 大学院理工学研究科, 助手 (20271158)
梶田 隆章 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (40185773)
末包 文彦 東北大学, 大学院理学研究科, 助教授 (10196678)
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Keywords | ニュートリノ振動 / フレーバー混合 / ニュートリノ質量の階層性 / CP非共存 / MSW機構 / 非標準的ニュートリノ相互作用 / 長基線ニュートリノ実験 / 原子炉ニュートリノ実験 |
Research Abstract |
・(1)昨年度の研究において、東海村に建設中のJ-PARCからのニュートリノビームを神岡・韓国に設置された同一2検出器系(それぞれ0.5メガトン)によって受ける設定(Tokai-to-Kamioka-Korea、略してT2KKと呼ばれる)によって、ニュートリノ質量パターン(質量階層性)とレプトンCP位相の同時決定が可能であることを示した。今年度はこの研究をさらに発展させ、T2KKによって残された(2-3)角にまつわるパラメター縮退を分解できることを示した。韓国検出器がもつ約1000kmの長い基線長のため、さらにJ-PARCからのニュートリノビームが(ピークエネルギー0.7GeV)という低エネルギービームであることの二つの理由から太陽ニュートリノ振動に感度がある。この太陽振動項は係数にsin^2theta_{23}をもつ大気振動項と異なり、cos^2theta_{23}に比例する。これを利用し、太陽項に対して感度が異なる両検出器の比較によって太陽項の効果を取り出し、(2-3)角パラメター縮退の分解が可能であることを示した。この昨年度以来の研究によって、(1-3)角が次世代の加速器・原子炉実験によって探索できる範囲にある(2-3)角パラメター縮退を議論する必要があるほど(2-3)角が最大角から離れている場合には、T2KKは全てのニュートリノパラメター縮退(8重縮退)を分解する能力を備えていることが示された。1つの通常型ビーム実験の中でこのような高感度で8重縮退を分解できる能力を備えた設定は現在のところT2KKしか知られていない。 神岡・韓国2検出器系のアイデアは今や甲際的に認知された存在で、2005年11月の第1回ワークショップに引き続き、2006年7月13-14日の両日ソウル国立大学において第2回T2KK国際ワークショップが開催された。 ・(2)2-3角パラメター縮退を分解する方法はT2KKのように太陽項を特定する方法が唯一ではない。2003年に南方・杉山・安田・井上・末包は原子炉1-3角実験を提案すると同時に、これと加速器ニュートリノ実験の組み合わせによって2-3角パラメター縮退の分解が可能であることを指摘した。この提案に依拠して、T2K実験の実験家の参加を得てこの詳細なシミュレーション結果と整合的な解析コードを開発し、2-3角縮退の分解能力があるパラメター領域の精密な評価を行った。この結果、この方法がsin^2 2theta_{13}=0.5-0,6の比較的大きな1-3角の領域でT2KKを上回る縮退分解能力をもっ事を明らかにした。 ・(3)最近提案されたメスバウアー効果を用いる共鳴吸収反応を使う(1-3)角測定実験によって期待できる質量二乗差や(1-3)角に対する測定精度の詳細な検討を行った。他にはない単色ビームという特徴をもち、10mの短基線長、さらに10桁以上もの増幅効果による大きな断面積を生かして、移動検出器によって質量二乗差の測定精度として未曾有の、(1-3)角許容範囲の最大値を仮定して、0.3%という超高感度の予想を得た.
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Research Products
(21 results)