2005 Fiscal Year Annual Research Report
大強度陽子加速器における高運動量ビームラインの開発
Project/Area Number |
16340082
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
澤田 真也 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 大強度陽子加速器計画推進部, 助教授 (70311123)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 万博 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 大強度陽子加速器計画推進部, 教授 (90171743)
今里 純 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (40107686)
齊藤 直人 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20321763)
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Keywords | 大強度陽子加速器 / ビーム / ビームライン / 偏向 / チャネリング / シリコン / 単結晶 |
Research Abstract |
本研究は大強度陽子加速器における高運動量ビームラインについて、その要求用件を精密化し、要素技術の開発を進めるものであり、研究機関は平成16年度から3年間である。第2年度である平成17年度は、要素技術の核となると期待できる結晶によるビーム偏向法の開発に集中して研究を進めた。広島大学150MeV電子周回装置において16ミクロンのシリコン結晶を用いて電子線のチャネリング実験を行い、湾曲していない結晶でのチャネリング現象を用いてビームを変更させることができることを証明した。引き続き、湾曲したシリコン結晶によるGeV級のエネルギーを持つ陽子線の偏向を試みるために、高エネルギー加速器研究機構12GeV陽子シンクロトロン(KEK-PS)においてテスト実験を行った。この結果、ロシア・IHEPの共同研究者(V.Biryukov氏およびY.Chesnokov氏)により製作された湾曲シリコン結晶(長さ10mm、幅3mm、厚さ0.3mm、曲げ角32.6mrad)を用いて、12GeV、1×10^<12>/秒の陽子ビームから10^7/秒程度の陽子ビームを分岐させることに成功した。わが国において湾曲結晶で実際にビームを変更させることができた初の成果である。今後はより多くのビームを偏向させるための大型の結晶の開発を進めたり、ビーム損失を低減するための実際的なデザインが必要となる。残念ながらKEK-PSでの実験は平成17年度をもって終了となったので、陽子線については米国フェルミ国立研究所等で実験を行う可能性がないか検討を進めている。
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