2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16340083
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
板橋 健太 独立行政法人理化学研究所, 岩崎先端中間子研究室, 研究員 (30322093)
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Keywords | 分光実験 / エキゾチック原子 / 質量の起源 |
Research Abstract |
π中間子原子高精度分光実験に向けて、これまでの結果をまとめ、論文として投稿すると共に新たな実験条件の策定を行った。結果以下のことが分かった。まず、π中間子原子を分光する手法に関してであるが、これには以下にあげる二通りがある。i)通常の運動学を用いる方法ii)逆の運動学を用いる方法。まずi)の通常の運動学を用いる手法であるが、この手法を用いることにより、自然界に安定に存在する原子核に対して、π中間子原子を生成し分光することができる。今回以前にこの手法で行った実験結果を解釈することで、物質の質量の起源に関する極めて貴重な知見を得ることに成功した。これは、世界中でさまざまな手法で試みられてきたカイラル対称性の破れが高密度中で部分的に回復していることを確認する実験の一環であり、定量的な結果が得られたのは初めてである。しかし、精度上の問題点がないとは言い切れず、系統的な研究によって不定性の少ない情報を得る必要がある。より高精度で系統的な研究を行うには、新しい実験設備が不可欠であるが、独立行政法人理化学研究所に建設中であるRIビームファクトリーが、その目的に適していることがわかった。そのため具体的な実験条件を提案した。次にii)の逆の運動学を用いた手法であるが、この手法では自然界において不安定な原子核に対してもπ中間子原子を生成することができる。この手法はこれまで試みられたことがなく挑戦的であるが、本年度の科研費補助金により要となる検出器を購入し、性能調査の準備を進めた。この手法ではゲルマニウム検出器が、原子核反応で放出されるヘリウム原子核の全エネルギーを、ΔE検出器とチャージセンシティブプリアンプがエネルギー損失と放出角度を計測する。これらの検出器の性能調査ははじまったばかりであるが、来年度も引き続き基礎的な性能調査を行う。
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Research Products
(4 results)