2004 Fiscal Year Annual Research Report
強相間電子系における光励起状態の位相緩和ダイナミクス
Project/Area Number |
16340085
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岩井 伸一郎 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60356524)
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Keywords | 強相関電子系 / 光誘起相転移 / 位相緩和 / モット絶縁体 / 超高速分光 / 縮退4光波混合 |
Research Abstract |
典型的な一次元モット絶縁体に対し、位相緩和時間の評価を簡便に行うために2パルス型縮退4光波混合の測定光学系を構築した。本研究において、対象となるモット絶縁体の多くは、可視光から中赤外光領域に共鳴吸収(反射)帯を有するため、この波長領域のフェムト秒波長可変光源が必要となる。そこで、本年度は、波長800nmのフェムト秒レーザー(既存)を励起源とする波長変換器(光パラメトリック増幅器;OPA)を作製し、可視〜中赤外での測定を可能とした。 また、温度可変試料冷却装置(平成16年6月納入済)を用いて、位相緩和ダイナミクスの測定を10-300Kの広い温度領域で行えるようにする。大きさ、形状の制限された単結晶試料を用いて反射配置の測定を行う必要があるため、冷却装置に試料を装着したまま試料角度を変えられるように改造を施し、単結晶試料の温度依存性測定を可能にした。これらの装置を用いて、予備的測定を行い、強励起下において、位相緩和時間が弱励起の極限に比べ約一桁延びることを見出した。この現象は、五味、高橋らによって予測されているホロン-ダブロンクラスターの生成(Phys.Rev.B72,045129(2005))に対応するものと考えられる。 さらに、強相関電子系物質の電子構造パラメータ(電子格子相互作用やトランスファーエネルギー)を効果的に変化させる方法として、圧力(静水圧)を印加する方法が知られているが、超高速時間分解分光に適用した例はない。圧力印加下における超高速時間分解分光法の可能性を検討し、低温、静水圧下でのフェムト秒分光の測定系の製作に着手した。
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Research Products
(4 results)