2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16340089
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
三浦 浩治 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (50190583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 成朗 成蹊大学, 工学部, 助教授 (40360862)
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Keywords | 超潤滑 / C60フラーレン / グラファイト / インターカレーション |
Research Abstract |
摩擦のない機械システムの実現は、人類の究極の目的になっている。従来の我々の研究では、グラファイト上にC_<60>単層膜を真空蒸着で作成し、その上にグラファイトフレークで挟んだグラファイト/C_<60>単分子層/グラファイト系が、動摩擦ゼロ(時間平均の摩擦力がゼロ)になることを示した。しかしながら、この試料作成法は、真空蒸着でグラファイト上にC_<60>単層膜を作成することに困難が伴うこと、摩擦力を測る際の試料の位置決めなどに手間がかかるなど問題点が存在する。したがって、この作成法は基礎研究の方法としては重要な意味を与えたが、実用に向けた試料作成としては有効とは言えない。本研究では、C_<60>フラーレン分子を化学処理,熱処理によって簡単にグラファイトの中に封入したフィルムが定常的に摩擦力ゼロを示すことがわかった。この試料は、グラファイト単層膜(グラフェン)と稠密構造をもつC_<60>単層膜が交互に積層した構造をもつ。100nN(GPaの圧力に相当)以下の荷重では、摩擦力はノイズレベルで常にゼロを示す。この場合、定常的に摩擦力がゼロである。荷重100nNでは,グラフェンによる圧縮により、C_<60>フラーレン分子の回転や転がり等の自由度が失われ、C_<60>単層膜を反映した摩擦力像が出現すると同時に有限な摩擦力が発生する。摩擦力ゼロはサイズ2.3mm×2.3mmの広い領域で起こり、どの方向に走査しても摩擦力ゼロで摩擦に異方性がない。この摩擦力ゼロフィルムの実現は、従来の潤滑剤の発展においてブレークスルーになると同時に、ナノマシンやマイクロマシンの実現にとって極めて重要な発見である。
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Research Products
(7 results)