2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16340099
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
榊原 俊郎 東京大学, 物性研究所, 教授 (70162287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田山 孝 東京大学, 物性研究所, 助手 (20334344)
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Keywords | 異方的超伝導体 / ギャップ対称性 / 比熱測定 / 反強四重極転移 / スピンアイス / 気相-液相転移 / 磁気熱量効果 / エントロピー変化 |
Research Abstract |
(1)異方的超伝導体PrOs_4Sb_<12>のギャップ対称性 PrOs_4Sb_<12>の超伝導対称性を決定するために、超伝導混合状態での比熱の磁場方向依存性を0.28K〜Tc(=1.8K)の範囲で調べた。磁場は(100)および(010)面内で回転させた。両方の回転面ともに、0,5K以下の温度領域で比熱に明確な4回対称の角度振動が観測された。その相対振幅はH/Hc2〜0.3付近で極大をとり、低磁場ではほぼゼロに向かって減少した。一方、高磁場側でもゆるやかに減少したが、H=Hc2においても小さい振動が残り、H/Hc2〜1.5で完全に消失した。これらの結果は、品質の異なる2個の単結晶試料において再現することを確認した。以前の磁場中熱伝導測定によって報告された2回対称の磁場領域は、今回の比熱の実験では検出されなかったが、比熱の4回振動が極大となる磁場が熱伝導実験で報告された2回対称-4回対称の転移磁場とほぼ一致することがわかり、この磁場において超伝導状態に何らかの変化が起きていることを確認した。相対振幅がゼロ磁場で非常に小さくなることから、ギャップの大きさには顕著な角度依存性があるものの、少なくとも低磁場では全ての方向でギャップが開いている可能性が高いと思われる。 (2)PrPb_3の反強四重極秩序変数の特定 PrPb_3の反強四重極転移温度を磁場の角度の関数として詳細に調べた。(001)面で磁場を回転させたとき、転移温度が[110]方向でカスプ的な極小になることがわかった。これは秩序変数が[110]を境に切り替わっていることを意味している。この結果を説明するには秩序変数として020型の四重極モーメントを仮定しなければならない。 (3)Dy_2Ti_2O_7の磁気熱量効果 スピンアイス化合物Dy_2Ti_2O_7の[111]磁場方向における気相-液相転移に伴うエントロピー変化を磁気熱量効果の測定から求めた。1次転移の臨界点以上の温度ではスピンフリップにおいて顕著なエントロピーのピークが確認され、巨視的縮退が起きていることがわかった。一方、臨界点以下の温度ではエントロピーのピークは消え、1次転移による不連続的な減少が確認された。
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Research Products
(9 results)