2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16340099
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
榊原 俊郎 東京大学, 物性研究所, 教授 (70162287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田山 孝 東京大学, 物性研究所, 助手 (20334344)
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Keywords | 異方的超伝導 / ギャップノード構造 / 角度分解磁場中比熱測定 / 常磁性効果 / スクッテルダイト化合物 / スカラー型秩序 / 磁化異方性 / 角度分解磁化測定 |
Research Abstract |
1.URu_2Si_2の超伝導ギャップ構造 URu_2Si_2は1.3Kで超伝導転移を示す重い電子系物質である。その超伝導状態については、これまで比熱や核磁気緩和率の測定からギャップにノードを持つことが予想されてきた。本研究でURu_2Si_2の超伝導状態における磁場中比熱の磁場方向依存性を調べ、ギャップノード構造についての詳しい情報が得られた。c面内で磁場を回転させたところ、比熱に角度振動が見られなかったので、ノード構造はc軸対称であることがわかった。また、磁場がc軸に平行な場合には比熱の磁場依存性が低磁場で磁場に比例するのに対して、a軸方向の磁場では磁場の平方根に比例するような振る舞いが見られた。これは点状のノードがフェルミ面の北極と南極の方向に存在していることを意味する。また、c軸方向の比熱の磁場依存性からこの物質ではパウリ常磁性による超伝導対破壊効果が大きいこともわかった。 2.PrFe_4P_<12>のスカラー秩序 スクッテルダイト化合物PrFe_4P_<12>は6.5Kで2次相転移を示す。その秩序変数は非磁性でかつ立方対称性を壊さないスカラー型の可能性が最近議論されている。本研究では秩序状態における角度分解の磁化測定を行い、磁化および転移温度の異方性を詳細に調べた結果、いずれも立方対称の異方性に従うことがわかった。これは秩序状態において立方対称性が壊れていないことを意味しており、四極子秩序では理解できない。この結果はPrFe_4P_<12>においてスカラー型秩序が生じていることを強く示唆するものである。なお、秩序相内の低温領域(1K以下)において、磁化の立方対称異方性の符号が約2.3Tを境に反転する現象が見られた。この原因はまだ不明であるが、この物質における相互作用についての有用な情報を与えるものと考えられる。
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Research Products
(8 results)