2005 Fiscal Year Annual Research Report
p電子系およびナノ構造物質における強相関第一原理手法による電子状態の解明
Project/Area Number |
16340100
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今田 正俊 東京大学, 物性研究所, 教授 (70143542)
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Keywords | 第一原理電子状態計算 / 強相関電子系 / 物質科学シミュレーション / 密度汎関数法 / 経路積分繰り込み群法 / ダウンフォールディング / 有効ハミルトニアン |
Research Abstract |
密度汎関数法によって大局的な電子状態を求め、フェルミ面から離れた高エネルギー側(フェルミ面から離れたエネルギーを指す)の電子自由度を消去するダウンフォールディングの手法によって、低エネルギー電子のみの自由度を持つ有効模型を導く手法を確立している。信頼のできる計算の困難だった低エネルギー電子に対しては、経路積分繰り込み群法を採用し、DFT-PIRG法という方法によって、強相関物質での精度の高い計算手法を確立し、応用を進めている。多くの遷移金属酸化物の中でも特にストロンチウム・バナジウム酸化物(Sr_2VO_4)はLMTO局所密度近似では良い金属を予測し、ハートレーフォック近似では強磁性絶縁体が予測されるが、実際の物性は金属絶縁体転移に極めて近い反強磁性的な絶縁体であり、いずれの予測とも合致しない。このことから、この物質は強相関電子系の電子状態計算の精度を試すベンチマークとなる物質である。我々は実際にこのプロジェクトで開発したDFT-PIRGの方法をこの物質に対して適用し、Sr_2VO_4が反強磁性絶縁体と金属の相境界の近傍にあることを示しており、現実の物性と大変良く一致することを示した。この物質の光学伝導度が最近測定された。DFT-PIRG法による軌道スピン秩序状態をもとに、電気伝導度の計算を行なった結果、実験結果と定性的にほぼ一致する特徴を持つ光学伝導度を得た。この結果は、電荷ギャップが軌道によって選択的に異なる量子効果の影響を受けていることを示す興味深いものである。さらにYVO_3の電子状態の計算もすすめ、実験結果との定量的な比較に耐える精度の高い計算手法であることを実証した。今回の我々の計算結果での絶縁体ギャップの大きさは0.9eVであり、実験結果の1eV程度と定量的にも良い一致を示している。また磁気秩序と軌道秩序についても実験を正しく再現した。
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Research Products
(2 results)