2006 Fiscal Year Annual Research Report
p電子系およびナノ構造物質における強相関第一原理手法による電子状態の解明
Project/Area Number |
16340100
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今田 正俊 東京大学, 大学院物性研究科, 教授 (70143542)
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Keywords | 第一原理電子状態計算 / 強相関電子系 / 物質科学シミュレーション / 密度汎関数法 / 経路積分繰り込み群法 / ダンフォールディング / 有効ハミルトニアン |
Research Abstract |
密度汎関数法によって大局的な電子状態を求め、フェルミ面から離れた高エネルギー側(フェルミ面から離れたエネルギーを指す)の電子自由度を消去するダウンフォールディングの手法によって、低エネルギー電子のみの自由度を持つ有効模型を導く手法を展開し、研究を進めている。信頼のできる計算の困難だった低エネルギー電子に対しては、経路積分繰り込み群法を採用し、DFT-PIRG法という方法によって、強相関物質での精度の高い計算手法を確立し、応用が進んでしる。今まで、多くの遷移金属酸化物の中でも特にストロンチウム・バナジウム酸化物(Sr_2VO_4)とYVO_3の電子状態の計算を行ない、実験結果との定量的な比較に耐える精度の高い計算手法であることを実証した。これらの成果を踏まえて、この手法が有効になると考えられるp電子系への適用を進めた。p電子系の場合にはd電子系である遷移金属酸化物の場合に有効であったlinearlized muffin tin orbita1(LMTO)法の適用は賢明ではない。われわれはまず平面波基底によるDFT計算で運動エネルギー部分(バンド構造)に対するダウンフォールディングの手法を確立した。この手法を有機化合物であるBEDT-TTF化合物に適用し、低エネルギー側(フェルミレベル近く)の有効格子模型を導出した。フェルミ面近くの電子構造は少数のバンドから構成されており、このダウンフォールディングの手法が有効であることを示している。引き続いて、相互作用パラメタの導出を進める。また低エネルギーソルバーとして、経路積分繰り込む群法に加えて、ガウス基底モンテカルロ(GBMC)法のアルゴリズム開発を進め、GBMC法が負符号問題を起こさない、きわめて精度の高い手法として使えることを実証した。
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Research Products
(2 results)