2007 Fiscal Year Annual Research Report
p電子系およびナノ構造物質における強相関第一原理手法による電子状態の解明
Project/Area Number |
16340100
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今田 正俊 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授 (70143542)
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Keywords | 第一原理電子状態計算 / 強相関電子系 / 物質科学シミュレーション / 密度汎関数法 / 経路積分繰り込み群法 / ダウンフォールディング / 有効ハミルトニアン |
Research Abstract |
密度汎関数法によって大局的な電子状態を求め,フェルミ面から離れた高エネルギー側(フェルミ面から離れたエネルギーを指す)の電子自由度を消去するダウンフォールディングの手法によって,低エネルギー電子のみの自由度を持つ有効模型を導く手法をほぼ完成させた。 有機化合物に適用し,相互作用パラメタを含めて有効模型を導いた。特にBEDT-TTF化合物に対して,密度汎関数法に基づいて平面波基底を用いたLDA計算を行ない,さらに制限されたRPAで相互作用パラメタを決定して,ダウンフォールディングの手続きで,低エネルギー有効模型を導出した。一方,基底状態だけでなく,励起状態の性質解明にダウンフォールディング法が有効かどうかも検証した。GaAsやLiFに対するダウンフォールディングを実行して,有効模型の光学伝導度を計算し,電子間相互作用によって生じるエキシトン効果が正しく求められることを示した。 また,低エネルギー有効模型のソルバーの開発をさらに進めた。ガウス基底法と変分モンテカルロ法の改良を行なった。一方,新しいシミュレーション法を使って格子上の強相関電子模型の研究を進めた。幾何学的フラストレーション効果の大きな次近接トランスファーのあるハバード模型の基底状態の研究を進め,バンド幅制御型の金属絶縁体転移の近傍に見られる金属相の異常を改良された変分モンテカルロ法で解明した。特に二重占有度の高い電子ホールポケットの共存する状態の同定はこの手法の信頼性の高さを示している。 以上,ダウンフォールディング法の適用で現実の強相関電子系の物性解明に資する新手法がほぼ完成した。
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Research Products
(5 results)