2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16340101
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
廣井 善二 東京大学, 物性研究所, 教授 (30192719)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村岡 祐治 東京大学, 物性研究所, 助手 (10323635)
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Keywords | パイロクロア酸化物 / 超伝導体 / フラストレーション / 物質探索 / 遷移金属酸化物 / 強相関電子系 |
Research Abstract |
新しいパイロクロア型オスミウム酸化物超伝導体AOs_2O_6を発見した。これは物質としても超伝導体としても新しい。A元素として現在までに3つのアルカリ金属元素Cs、Rb、Kを含む酸化物が合成されており、それぞれ超伝導転移温度T_cが3.3K、6.3K、9.6Kである。以前に報告したパイロクロア酸化物Cd_2Re_2O_7のT_c=1.0Kと比べると最大一桁T_cが上昇したことになり、何らかの新しい超伝導機構が働いていることを予感させる。このように一連の化合物が存在することは、その化学的、物理的性質を系統的に調べることを可能とし、実験的に超伝導の起源を明らかにする上で非常に有利である。一方、その結晶構造に関して、電気伝導性を担う5d電子を供給するオスミウムイオンがいわゆるパイロクロア格子をなし、これが3次元フラストレート格子であることから、何らかの新しい物理の可能性を期待させる。超伝導の対称性に関して,単純なs波ではないことを示すデータが,NMR測定と,μSR実験から得られている.RbとKのNMR実験から得られたスピン-格子緩和率1/T_1の温度変化を見ると,T_c直下でRbには小さなコヒーレンスピークが観測されるが,Kではピークを示さず単調に減少する.前者のピークもCd_2Re_2O_7のそれと比べるとはるかに小さい.一方,低温での温度依存性は熱活性型よりも温度のべき乗によくのり,ラインノードではなく、ポイントノードを仮定して説明することができる.RbとKについてのμSR実験でも緩和率の温度依存性や磁場進入長の磁場依存性の詳細な議論から,異方的なギャップを有する超伝導であることが示唆されている.
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Research Products
(5 results)