2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16340103
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三宅 和正 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (90109265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 浩 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (10234709)
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Keywords | 強相関電子系 / 異方的超伝導 / f^2-電子配置の重い電子系 / 数値くりこみ群 / 量子臨界現象 / 動的平均場理論 |
Research Abstract |
斥力起源の超伝導機構と局所的量子臨界現象について以下のような成果が得られた。 1)UやPrを含む重い電子化合物はf^2配置のフェルミ液体であり、その準粒子間相互作用は、実験的諸事実から、Ce系のようなf^1-配置のフェルミ液体の場合とは異なっている。本研究ではf^2-配置の不純物モデルを「数値くりこみ群」の手法で研究し、強相関の現れる普通のパラメタ領域において、軌道内の有効クーロン相互作用よりも軌道間のそれがかなり大きくなる場合が存在することを見出した。これはUPt_3などの超伝導機構を考える上で重要な示唆を与える。 2)反強磁性量子臨界点近傍にある金属中での近藤効果を「2ループの摂動論的くりこみ群」により研究し、フェルミ面が反強磁性に関するhot-spotを持つ場合には、多チャンネル近藤効果の固定点が安定に存在することを示した。これは、いくつかの重い電子系の反強磁性量子臨界点において観測されている「局所的量子臨界現象」の微視的理論の基礎を与えるものと言える。 3)重い電子系物質CeCu_2(Si,Ge)_2の加圧下で観測されたCeの価数の臨界的量子転移とその近傍で現れる超伝導転移温度の増大を微視的に調べる目的で、f電子と伝導電子との間の局所的斥力U_<fc>を考慮した1次元周期アンダーソン模型を「密度行列くりこみ群」の方法で研究した。その結果、価数転移に伴う臨界点の性質は通常の気体-液体の臨界点近傍のそれとは異なるユニバーサルクラスに属していること、臨界点の近傍で価数が急激なクロスオーバーを示す領域において超伝導相関が最も支配的になることが確認された。 4)スピン3重項超伝導体Sr_2RuO_4の超伝導の微視的モデルを提案した。そこではRuの4d電子と酸素の2p電子との混成が大きいことに起因して酸素サイトでの2p電子間のオンサイト斥力が短距離の強磁性相関を誘起し、それがスピン3重項超伝導を安定化させることを有効相互作用を2次摂動で計算することにより示した。
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Research Products
(9 results)