2005 Fiscal Year Annual Research Report
NMR法による強相関電子系における磁性と超伝導の共存に関する研究
Project/Area Number |
16340104
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
鄭 国慶 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (50231444)
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Keywords | 強相関電子系 / 超伝導 / 磁性 / NMR / 高圧 |
Research Abstract |
本研究は強相関電子系(重い電子系や有機伝導体など)における磁性と超伝導の関係をNMR法によって調べようとするものである。初年度は以下の研究成果を得た。 準二次元的な結晶構造をもつ重い電子系Ce(Ir_<1-x>Rh_x)In_5において、Ir濃度の増加とともに、反強磁性転移温度T_Nが一旦上昇し、x>0.5以上では急激に減少してx=0.6で消失することを見出した。しかも、T_N以下で超伝導が現れ、x=0.35〜0.55の広い領域にわたって磁性と共存し、T_Nが最高値を示すX=0.5付近で超伝導転移温度が最高値を迎えることを明らかにした。さらに、超伝導と反強磁性秩序は同一の電子によること、超伝導状態では共存する磁性によると思われる低エネルギー励起が存在することを明らかにした。 また、Ce(Ir_<1-x>Rh_x)In_5を構成するユニットであるCeIn_3においても、高圧下実験を行ない、超伝導と磁性の関係を調べた。常圧ではCeIn_3は反強磁性体であるが、2.2GPa付近で超伝導に転移する。本研究で2.2GPa付近で磁気秩序状態と常磁性状態が相分離することを見出した。また、2.3-2.5GPaの圧力領域では反強磁性と超伝導が均一に共存することを明らかにした。 一方、準一次元有機伝導体(TMTSF)_2PF_6においては、磁性と超伝導との境界付近では両相が不均一に混ざりあうことを明らかにした。 以上の結果は、磁性と超伝導は必ずしもお互いに排除しあうものではなく、場合によっては微視的に共存できることを示すものである。
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