2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16340107
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野尻 浩之 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (80189399)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 康弘 岡山大学, 大学院・自然科学研究所, 助教授 (10292757)
大島 勇吾 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (10375107)
崔 光用 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (20375108)
|
Keywords | 単分子磁石 / 強磁場 / 量子情報 / 磁性 / スピン多面体 |
Research Abstract |
多面体構造を有するナノスピンクラスターは乱れのない高い対称性を有するナノ磁石であり、並進対称性を必要としないために、多様なスピンのトポロジーをとり得る。本研究では、フラストレーションを有するスピン多面体としてIcosidodecahedronであるMn72Fe30とIcosihedronであるFe9に関して研究を行った。前者は三角形の角共有ネットワークであり、後者は三角形の辺共有ネットワークである。Mn72Fe30においては低温でクラスター内におけるスピン配置の安定化に伴う比熱の異常を研究し、三角格子に特徴的な120度構造に近い状態で安定になることを見いだした。一方Fe9に関しては、ESR測定ならびに磁化測定を行い、エネルギー準位が三角構造による二重縮退を有していることを見いだした。この2重縮退は、三角構造のスピンカイラリティの自由度によるものであり、その証拠として三角スピンリングと類似した磁化の"ハーフステップ現象"が見いだされる事を示した。 さらに多面体との比較のために、四角構造を内包するナノスピンクラスター系に関しても、磁化過程やESRの研究からエネルギー準位構造の決定を行い、スピンカイラリティの有無によって、エネルギー準位の二重縮退の有無が決定されていることを確認した。これらの結果は、スピンカイラリティがナノスピンクラスターにおいて新しい内部自由度として振る舞い、その結果スピン自由度だけでは起こりえない磁気状態が形成されることを示している。この事は、スピン多面体が内部自由度を有するナノスピンクラスターとして量子情報操作等において有用な対象となりうることを示している。
|
Research Products
(6 results)